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千葉県大多喜町で地元スーパーによる移動販売が話題になっている。手掛けたのは千葉県内で小売業を展開する宍倉(千葉県大多喜町)。長時間の歩行が困難となり、買い物に頻繁に行けなくなった高齢者を支援する。野菜・肉・魚などの生鮮食品から惣菜、調味料まで扱う移動スーパーの現場をレポートする。

「足腰が弱り、遠くのスーパーまで買い物に行けなくなった年寄りには、大変ありがたいサービス」
「毎日でも来て欲しい」

移動販売のトラックに集まった高齢者がそう口にしながら目当ての買い物を行っていく。

宍倉が専用トラックによる移動販売「まごころ便」を始めたのは今年1月末。高齢化のニーズに応えるため、?地域に根差した小売?を志向。自宅の近所まで商品を運び、販売することを思いついた。経済産業省の「地域自立型買物弱者支援事業」として展開。トラックの購入代・改造代含め750万円の投資が必要だったが、半分を補助金として賄った。地元・大多喜町の推薦も得ながら、日々顧客を増やしている。

当初は宍倉社長自身が試行錯誤を繰り返し、品揃えを考え販売に回った。その結果、小売店舗のPOSデータが全く活かせないことを身を持って実感。季節や旬、気温、天気はもちろん、現場の声を最大限採り入れながら、陳列する商品のバリエーションを考えていった。

「例えばカキフライ。旬の2、3月には売れ筋だが、高齢者相手では5、6個がパックとなった商品は売れない。2、3個にして惣菜やサラダとセットにしたほうが断然受けることが分かった」(宍倉社長)。

小型の1トントラックに積まれる商品は、だいこん・キャベツ・白菜・ニンジンなどの野菜、リンゴ・みかんなどの果物、肉・魚類の生鮮食品から、惣菜、牛乳、米、調味料、洗剤まで様々。値段はスーパーと同様だ。

移動販売は月曜から金曜まで週5日。あらかじめ決められたコースで大多喜町一円を回る。販売所となる停留所は約30ヵ所に及ぶが、個人宅の要望にも対応。現在は20件ほどの個人宅に商品を届けている。

市街地は住民が集中しているため、集まってもらいやすいが、 車で30~40分ほどかかる山間部は1軒1軒の間隔が数百メートル離れていることもざら。「効率は悪いが買い物に行けない方々を見ると、非常に必要性を感じる」(宍倉社長)。

販売開始から3ヵ月ほど経過した5月上旬、客数は1日60~70人ほどまで伸びた。客層は70歳以上の女性がほとんど。90代も訪れる。販売単価も徐々に上がっており1200~1400円。1日の売上高が採算分岐点と言われる8万円ほどになった。

大多喜町での移動スーパーが軌道に乗りつつあることで、別の市町村での事業化も検討中。同時に現在の株式会社による事業をNPO法人に切り替えていく計画。

「経産省の事業とはいえ最初は大多喜町の役所からはなかなか理解を得ることができなかった」ため、介護職や老人会、民生委員に移動販売の利点を繰り返し説明。

「地域のコミュニティ作りや人手が足りないと言われるヘルパーの支援にもなる。実績をあげることで役所からの推薦を徐々に得られるようになった」(宍倉社長)。

NPO法人を取得することでより役所からの支援を受けられやすい環境を整える。

同社の創業は200年以上前の1788年。千葉県南部を地盤とした問屋業で事業を拡大。現在は大多喜町でコンビニを6ヵ所、周辺の木更津、袖ケ浦、いすみ、大網白里、千葉市などでスーパーを6ヵ所展開している。

「移動スーパーで聞いた高齢者の生の声を、スーパーやコンビニでも集客を高める品揃えに活かしていきたい」(宍倉社長)。

移動販売のスタッフ(兼ドライバー)と店舗のスタッフは別々の体制を組んでいる。住民の声を直接聞ける場として、店舗のスタッフを移動販売に同行させる試みにも取り組んでいる。

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