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 国が「病院から施設へ、施設から在宅へ」の流れを打ち出す中で、病院と在宅を繋ぐ役割を果たす介護老人保健施設(老健)が改めて注目されている。今後の老健は何が求められていくのだろうか。6月27日に就任した(社)全国老人保健施設協会(全老健・東京都港区)東憲太郎会長に話を聞いた。

──4月の診療報酬改定、来春の介護保険制度改正の方向性をどのように評価しているか。

 「医療と介護の垣根をなくす」という姿勢が明確になったことを評価したい。これまで医療機関は「治療が終われば後は関知せず」で「患者が退院後に、どこでどのような生活を送るのか」といった視点に立っての治療行為が行われてこなかった。老健の意味や仕組みについての理解も十分でなかっただろう。医療と介護の垣根がなくなることで、老健で提供するリハビリなどのケアまでも見越した医療が提供されることが期待される。

──老健は「特養化」「社会的入所者が大半」など、本来の役割を果たしていないとの声もある。このあたりの解決が先決だ。

 かつてのように「入所施設が特養しかない」というならともかく、最近は有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅など高齢者向けの住まいが続々と供給されており、地方では特養ですら空室が発生している状況だ。こうした中であえて老健に長期入所する理由はなく、社会的入所はどんどん減っていくだろう。老健が本当の役割を発揮できる時代になったと考えている。その時代の流れを上手く掴める老健は大きなチャンスだろう。

──前回の介護報酬改定時に在宅復帰率やベッド回転率などで一定要件を満たす老健は「在宅復帰強化型老健」として、従来型老健よりも高い報酬が設定された。こうした流れが今後も続くのか。

 前回の介護報酬改定時に、在宅復帰強化型老健(以下・強化型老健)の要件に該当するのは全体の3~4%だった。今では9%程度になっている。老健全体に占める割合としてはまだ少数派だが、数自体は2年強で2倍以上になっており、強化型老健になるためのハードルがそれほど高いとはいえないだろう。しかし、まだ現在の報酬では強化型老健にうまみがあるとは言えない。全老健の調査では、強化型老健の利益率は5・2%と従来型老健の5・9%を下回った。常に空床を抱えなければならないことや、より多くのスタッフを確保しなければならないことなどが要因だ。来春の介護保険制度改正に向けての議論が進められているが、空床の確保について報酬で評価するなど、老健がより在宅復帰に取り組める環境を整備するよう求めていきたい。

──今後老健が発展し、その機能を十分に発揮するために会員に対してどのようなことを訴えていきたいと考えているか。

 老健は「病院─老健─自宅」というように自宅に戻る前に入所する在宅復帰のための施設と認識されている。しかし、それ以外にも「在宅支援」の役割を果たしていくことができる。「病院から自宅に戻ってはみたものの、入院時より要介護度があがってしまい生活がままならず、家族の負担も大きい」といったケースは珍しくない。そうした場合に老健の活用が可能だ。
 老健にはPTがいる。老健に短期入所したり通ってもらったりしてリハビリを受けたり、場合によってはPTが訪問したりと多角的な形でサポートできる。現在、ここまでのフルサポートができる老健は多くは無いが、全老健会員に対しては、なるべく体制を整え、在宅要介護者のあらゆるニーズに応じられるように、と指導してきたい。 今の国の考え方は、老健にとっては千載一遇のチャンスといえる。これをしっかりと掴めるかどうかで、老健事業者の将来像は大きく変わるだろう。全老健としても、成功事例の共有・研修などを通じ会員を支援していきたい。

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