不動産ファンド運営の玄海キャピタルマネジメント(福岡市)は、国内の老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅への投資を加速する。社会保障費が増大を続ける状況では、要介護者の受け皿となる特養などの新設を行政主導で進めるのは財政上難しい。そこで同社は「民間資金を活用した社会インフラ整備」を担っていく。戦略について文智勇チーフストラテジーオフィサーに話を聞いた。

――御社の概要は

「当社は2006年に九州エリアの不動産を投資対象とするファンド運営会社として設立。リーマンショック以降は金融機関などからのデットアセットマネジメント業務を積極的に受託し、事業展開を首都圏にも広げた。オフィスビルやレジデンス、商業施設やヘルスケア施設など多様なポートフォリオを組み、現在約2400億円の受託資産残高がある」

――老人ホームやサ付き住宅などへの投資を増やす

「すでに一般紙などで報じられているが、日本の大手施設運営会社の案件を数多くサポートしてきた実績がある。さらに昨年にはシンガポールの不動産ファンド運用会社である『イージーヘルスケア・トラスト・マネジメント』に出資した。運用するファンドで日本とオーストラリアの介護・医療施設などに投資していく。日本の物件取得・開発を当社が担う。当面、年間300億円程度を日本に振り向けていく予定だ」

――日本国内でもヘルスケアリートが上場するなど競合も多い

「『不動産』としてアプローチする上場リートの投資先は基本的に10大都市圏の既存物件が中心となるだろう。しかし、当社ではヘルスケア施設への投資は社会性を持った『インフラ』作りだと考えている。例えば、浄水場のように不動産自体には価値はないが、広いエリアを対象としたインフラであると捉えれば違う価値がある。社会保障費が増大していく日本では、要介護者の受け皿として特養を作り続けることは難しいだろう。国に代わり、民間として社会インフラ整備に寄与していきたい」

――現状の投資状況は

「北海道と関西で複数の高齢者施設の開発案件を進行中で、総額100億円規模となるだろう。なかなか数は少ないが投資対象となる物件は60室以上で、月額賃料は15万円以下が希望水準だ」

――ファンド・リートに馴染みのない施設運営会社は協業を敬遠しないか

「当社の株主の一つは全額政府出資の日本政策投資銀行でもあり、コンプライアンスには細心の注意を払っている。また今すぐにということではなくても、施設経営の資本戦略の一環として気軽に相談してもらいたい」

――これまでに日本だけでなく海外のヘルスケアマーケットにも投資してきた上で、今後の国内市場をどう見ているか

「介護保険3施設以外の高齢者住宅・施設は49室以下が80%程度。また介護者に対応する企業数で約4500社、当社調べでは1社あたり平均2棟の運営ということになる。これだとなかなか規模の経済が働かない。これは80年代後半のアメリカに酷似していると言えるだろう。アメリカでは90年代から運営会社の収斂が進み、現在は大手100社以下に絞られている。こうなると運営上さまざまな面でスケールメリットを活かすことができる。日本も後を追うのではないだろうか」

――御社としての今後の戦略は

「2018年には1000億円規模でプライベート・リートを組成する予定だ。今後3年で約1万室を取得していきたい。2025年までには有老・サ付き住宅の所有を8万室、シェア10%程度まで高めていく。ボリュームがでてくれば、施設運営会社と共同で別の高齢者向けビジネスにも発展していくだろう」
「世界最速で高齢化が進む日本の介護市場には世界が注目している。ノウハウを蓄積し、10年後には韓国、20年後には中国に提供できるモデルを確立していきたい」

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