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 安倍総理は、自民党総裁再選を受けて9月24日記者会見を行い、「1億総活躍社会」を構築することを表明。「介護離職ゼロ」「GDP600兆円」「希望出生率1・8」を具体的な数値目標として掲げた。また、その実現に向けて新たに担当大臣を設け、その下に国民会議を設置する考えを示した。

2020年目標 特養整備で解決

 これは、いわゆるアベノミクスの第2ステージとして掲げられたもの。目標としては「一つの節目として、日本でオリンピック・パラリンピックが開催される、また団塊の世代が75歳を超える2020年(代)に向かって新たな国づくりを進めていく」とした。

 それぞれの目標について、具体的にどのような道筋で進むのか、という点については、この日の会見では示されなかったが、同日付の読売新聞朝刊は「特養整備で介護離職ゼロを目指す方針を固めた」と報じている。

 同紙によれば、「2020年代初めまでに、自宅で特養入所を待機している要介護3以上の要介護高齢者15万人をゼロにすることを目標とする」とし、そのための財源として「地域医療介護総合確保基金」(724億円)を活用するほか、いわゆる「タンス預金」の掘り起こしのため、無利子非課税国債を発行する可能性がある、としている。

施設増設では「問題解決せず」

 しかし、これについては、介護業界からは批判の声も上がっている。

 今瀬ヘルスケアコンサルティング(東京都千代田区)の今瀬俊彦所長は「特養は今春の介護保険制度改正・報酬改定で、室料の自己負担などで入居費用が上昇。費用面ではサービス付き高齢者向け住宅とほとんど差が無くなっている。こうした中で公費を投じて特養を整備する意味が無い。自治体も『整備したくない』というのが本音だろう。安倍総理のパフォーマンス」と批判する。

 全国訪問介護協議会(同世田谷区)の荒井信雄代表は「人手不足でフロア閉鎖をせざるを得ない特養もある中で、特養の整備促進はナンセンス。まずは介護報酬増と、今後報酬を増減させる場合にも『プラスマイナス2%以内』など限度を設けて、経営者が長期的な目で職員の処遇改善を行える環境を整えるべき」と、まずは介護業界の人手不足解消を図るべき、と指適する。

 一般財団法人高齢者住宅財団(同中央区)の高橋紘士理事長は「介護離職を防ぐために施設整備を行うという方針の背景は、経済活動に介護を従属させるという考えだ。家族と高齢者を切り離して施設に収容するというのは一昔前の発想。これでは本当の問題解決にならない」と指摘した上で、「家族の住んでいる地域にきめ細かく在宅医療や居宅介護などを整備し、施設は地域支援機能を充実させていくべき。大規模施設ではなく地域密着型サービスなどの小規模拠点の整備を図り、地域ぐるみのケアシステムをつくるのが国民の望む介護の姿だ」と地域包括ケアシステムの考えに則った施策を提言した。

 本紙では今後も有識者のコメントなどを随時取り上げていく。

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