各界の有識者に、高齢者虐待問題についての意見を聞く連載企画の第2回。今回は、本紙連載コラムでもお馴染み、リスクマネジメントの専門家、安全な介護山田滋代表に話を聞いた。

――高齢者虐待が発生する要因はどこにあると考えているか

山田 一口に高齢者虐待と言っても、家族によるものと、介護職によるものとは全く別物であり、両者は明確に分けて考えなくてはなりません。家族による虐待は「介護に対する情報・知識・ノウハウが十分でない」「老々介護などで心身共に疲れ切っている」など、まだ斟酌できる事情を抱えているケースもあります。それに対し、介護職はプロなのですから情報・知識・ノウハウも十分なはずです。それにも関わらず虐待をしてしまうのはプロ意識の欠如にほかならず、言語道断です。

――「介護職はストレスが多い」ことを虐待の要因に挙げる人もいます

山田 介護職に限らず、他人に接する職業従事者の殆どは様々なストレスを抱えています。しかし彼らは顧客・取引先を虐待したりはしません。彼らはプロだからです。しかし介護は人手不足ということもあり、素人を即席で「プロもどき」に養成し、就業させているのが現状です。名実ともにプロである人物を養成してこなかった業界全体の責任といえます。また、これについては、介護業界の人手不足に有効的な手を打ててこなかった厚生労働省にも責任の一端があるでしょう。国が介護職員による高齢者虐待の対応について及び腰なのも、そのあたりの責任を感じているからではないかと考えられます。

――では、どうすれば虐待を防げるのでしょうか

山田 まず「虐待」という生易しい言葉でなく、「傷害」「暴行」など刑事罰の対象になる行為である、ということを誰もが容易に認識できる言葉を用いるべきです。「虐待をすれば法律的に罰せられる」ということを介護職員がきちんと認識することが最大の抑止力になります。
 しかし、実際に罰せられなければ意味がありません。介護事業者の中には人手不足などを理由に、虐待を行った職員を甘い処分で済まそうという意識が見受けられるところもあります。虐待を行った職員は刑事告発するなど厳正に対処すべきです。他の業界、例えば金融機関では、横領や着服を行った社員を軽い処分で済ませて、そのまま就業させるなどということは考えられません。「虐待を行ったら二度と業界に復帰できない、一生を棒に振る」ということを職員にしっかりと意識づけることが重要です。

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