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 高齢者虐待問題について、業界の様々な立場の有識者に意見を聞く連載企画。今回は、高齢者住宅分野のシンクタンクである、タムラプランニングアンドオペレーティング田村明孝社長に話しを聞いた。

ーー高齢者住宅での虐待問題の原因は、どこにあると考えられますか。

田村 高齢者住宅での虐待は以前よりありました。それを考えると、業務の密室性の高さやスタッフのストレスなど、介護業務・職務の性格に起因する点があります。また最近、虐待が増えていると言われるのは、単純に高齢者住宅の数が増えたこともありますが、高齢者住宅の数の増加に介護業界で働く人の数が追い付いていないことが原因でしょう。人手不足であれば、介護現場で働くことが適さない様な人であっても雇わざるを得ません。

ーー事業者の行き過ぎた業務拡大に問題があるのでしょうか。

田村 「介護業界で人手が足りなくなる、この先も足りない」ということは以前からわかっていたのですから、それを踏まえた展開をするべきでした。数字を追いかけるだけの事業拡大を図ったことが、現場の人手不足と無理な採用活動によるスタッフレベルの低下を招いたといえるでしょう。
 ただし、民間企業が介護事業を手掛けること、そこが事業を拡大し利益を追及することは否定されるべきではありません。大都市圏を中心とした高齢者住宅不足の解決のためには、数多くの高齢者住宅を開設できる力をもった事業者の存在が必要です。

ーー虐待を防ぐには、何が必要でしょうか。

田村 人手不足の解消です。特定施設の「3対1」などといったような人員配置要件は見直すべきです。こうした仕組みがあるから事業者は「あと何人スタッフが必要」という数合わせの人材確保思考になり、結果的に「誰でもいい」と資質や素養に欠ける人材を雇用することになります。就業者個々の保有資格やスキルなどに応じて人員配置を柔軟にすべきです。
 また、介護ロボットやICT機器などを活用し、従来よりも少ない人数で介護が行える環境を構築したり、介護スタッフの労務負担軽減に取り組んだりすることも重要ですし、それに対し国が補助金を出すことも考えるべきです。現在国の補助は「施設・高齢者住宅の整備」に偏っています。しかし特定施設などは、何の補助も受けずに各事業者の努力だけでここまで数を増やしてきました。ハコではなく、中身に対してもっと財源を割くべきだと考えます。

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