綜合警備保障(以下ALSOK/東京都港区)は4月、傘下の介護事業会社を統括する専門部署を設立した。ここ数年、M&Aにより急拡大を遂げた同社の戦略を、伊藤貢部長に聞いた。

──2012年に新規で訪問介護を立ち上げ、介護に参入した経緯を教えて下さい。

伊藤 当社の事業は元々法人向け警備から始まり、ホームセキュリティなど会社・家の安心の提供から、見守りなど人・生活の安心を提供するところまで広がってきた。警備のノウハウがそのまま使えるとは思っていないが、安心という部分は同じ。延長線上に介護があると考えている。

──HCM、アズビルあんしんケアサポート(現ALSOKあんしんケアサポート、以下ACS)、そして今月にはウイズネットを子会社化しました。

伊藤 当初は自前で訪問介護を新設したが、一からだとなかなか拠点を広げていくのは難しかった。そこでHCM、ACSの訪問介護・デイなど在宅介護が中心の2社を買収し拠点を拡大してきた。
 ただ、在宅だけでは顧客のニーズに応えきれないため入居系の施設も必要だった。ウイズネットは介護付有料老人ホームやグループホームなどを多く抱えていることから今回の買収に至った。

──買収した3社の主要エリアも近いようです。

伊藤 (近畿・東海・東北にも展開しているが)HCMとACSは東京・神奈川・千葉が多く、ウイズネットは埼玉が中心でバランス良く構成できていると思う。

──ALSOK本体に介護事業部を新設しました。

伊藤 これまではホームセキュリティなどを扱うリテール部門が介護事業を担当していた。事業規模も拡大したことから4月に介護事業部を新たに発足させ、傘下の事業会社をみていく体制となる。介護事業の担当役員である宮澤(裕一専務取締役)がウイズネットの社長を兼務する形をとる。

──介護事業の法人・施設名などが多岐にわたります。ブランド戦略については。

伊藤 慣れ親しんだ利用者目線で考えれば今すぐブランドを統合することがメリットにはならない。例えば、これまでホームセキュリティなど「ALSOK」ブランドを利用していただいた方たちの多くが介護サービスを必要とする時になれば検討するかもしれない。

──M&Aによる拡大は継続しますか。また、在宅・施設のどちらに比重を置くのでしょうか。

伊藤 これまで拡大を優先させてきた首都圏の地盤を強固にした上で、今後は関西などほかのエリアでの拡大も考えられるだろう。
 ニーズありきで考えているため、現状で在宅か施設かのいずれかに注力するという考えはない。ただ面での展開、特に施設があることでスタッフの移動や教育などが格段にやりやすくなる。

──買収により介護サービス利用者が約1万4000名に拡大します。本業とのシナジーは。

伊藤 将来的には顧客の相互紹介などもあるかもしれないが、介護事業に参入してまだ数年。無理に推し進めることはしない。
 介護事業は利用者の獲得もさることながら、スタッフの確保が最大の課題だ。本業では機械警備などテクノロジーを使って効率化・標準化を進めてきた。介護でも応用できることがあるのではないかと考えている。
 また、今後増加が見込めない介護報酬に依存するビジネスモデルから、ホームセキュリティなどの保険外収入によりスタッフの待遇改善が図れるよう検討していきたい。

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