自治体(保険者)が、介護保険サービス事業所に対し、利用者の要介護度が改善した場合などに、金銭的なインセンティブを与える動きが広がっている。事業者のやる気を引き出し、良質な介護サービス事業所を増やすのが狙いだ。

1事業所100万円 20件に交付予定

 神奈川県は「優良介護サービス事業所等奨励金」制度を来月より開始する。これは「要介護度の維持・改善」「人材育成」「処遇改善」などの項目について、その成果を評価し、優良と認められた事業所に対して1事業所100万円の奨励金を交付する、というもの。

 介護サービスを(1)訪問系(2)通所系(3)居住系(4)入所系、の4つに分け、それぞれ最大5事業所、合計で最大20事業所に交付をする。県では、検証調査費・外部有識者などによる選考会費なども含めて2240万円の補正予算を組んでいる。

 「7月上旬には、評価・選考基準、申請方法などを県の介護サービス情報ホームページ『らくらく』などで公表する予定です。11月23日には一般県民を対象にしたイベント『介護フェア』を、横浜市の新都市ホールで初めて開催する予定ですが、交付先として選定された事業所に対する表彰式・授与式もイベント内で行います」(神奈川県保健福祉局福祉部地域福祉課)

1人5万円支給 チーム応募も可

 川崎市も「要介護度改善・維持評価事業」を実施する。同市では、2014年度・15年度と介護保険サービス利用者の要介護度やADLの改善・維持を評価し事業所にインセンティブを与えるモデル事業を実施してきた。今年度は、その結果を踏まえ本格的に導入するもの。

 具体的には、今年7月1日から来年6月30日までを事業期間とし、期間終了時に要介護度・ADLが改善した場合に対して利用者1人当たり5万円(正式な金額は市議会での予算審議により決定)の報奨金を支払う。実際の支払いは来年9月を予定。その他、市主催イベントでの市長表彰、市公式ホームページへの掲載などのインセンティブを予定している。

 「申し込みは今月いっぱい受け付けています。特養や老健、特定施設などひとつの事業所でケアが完結する場合は、単独事業所での申し込みができますが、在宅系など複数の介護事業所が1人のケアに関わっている場合には、居宅介護支援事業所が代表になってのチームで応募してもらう形になります」(川崎市健康福祉局長寿社会部高齢者事業推進課)

 市では200事業所・300人の参加を目指す。
 現在の介護保険制度では、利用者の要介護度が下がると事業所は減収となる。このため事業者がリハビリテーションなどにしっかりと取り組まない、などといった問題点が指摘されていた。利用者の要介護度の改善に対し、介護報酬以外の形でインセンティブを付与することは、良質な介護サービスを提供する事業所を増やすこととなり、結果的に介護給付費の抑制に繋がることが考えられるため、取り組む自治体が出始めている。

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