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昨年10月、宮城県遠田郡美里町にデイサービス併設の住宅型有料老人ホーム「まりちゃん家(ち)」がオープンした。20年以上におよぶ介護事業の経験を活かし、数ヵ月でほぼ満室の状態となった。1階のカフェには、地元住民や周辺の介護事業関係者が集っている。設計・施工は積水ハウスが手掛けた。

運営会社は施設名と同名。佐々木眞理子社長は23年前、脳梗塞で半身まひとなった父の介護をきっかけに、自宅を開放してボランティアのミニデイサービスを開始した。当時父は特養多床室に入所していたが、環境になじめず自宅に戻ることを決心。佐々木社長は家族と相談の上、「自宅で父の友人作りをしてあげたい」という想いで、週1回地域の高齢者が集まる場を作った。

その後、利用者の要望で毎日開けることになり宅老所に転換。別の場所で社会福祉協議会のもとで宅老所の運営、NPO法人設立を経て2003年、現在の法人を立ち上げた。

新設されたホームの敷地ではもともと宅老所を運営。売りに出されていた築40年の日本家屋を購入後、リフォームして、2006年からデイサービスやお泊りサービスを提供していた。

6年前の東日本大震災で建物が損傷。3年ほど前から建て替えを決意し、県内県外の施設を見学して回ったという。〝家庭的な雰囲気で、利用者の居場所を作ってあげたい〟というコンセプトのもと、積水ハウスと打合せを重ね、昨年10月のオープンとなった。

居室数は20室。デイサービス(定員25名)と居宅介護支援事業所を併設した。ホーム入居者のうち7名がデイサービスも利用している。「20年以上、様々な地で介護に携わってきたが、サービスを集約したため、利用者が付いてきてくれた」。

居室は1人部屋の他、隣室との間仕切りを引き戸にした相部屋にもなるタイプを6組用意。入居者同士の同意があれば鍵を開けて自由に行き来が可能。引き戸を開ければ、1つの大きな部屋として使用することもできる。

プライバシーを守りながらも人の気配を感じられるような工夫を各所に施している。見守りのために、居室入口の脇には明かりとりの障子を設置。中の気配を感じつつも、はっきりは見えないので、利用者も気にせず過ごせる。

居室の引き戸のドアには、天井まである背の高いドアを採用。開放感と広がりのある居住空間を創出。吹き抜けのある明るい交流スペースでは、1階と2階の様子が互いに感じられ、ホーム全体の一体感も生まれる。

2階のデイサービスエリアは、大きな空間をデイルーム・ソファーコーナー・事務スペースの3つにゆるやかにゾーニング。どこにいても全体が見渡せるため、目が行き届きやすい。洗面台とトイレ、浴室、洗濯室といった水まわりの設備はまとめてあるので、動線もスムーズ。

もともとこの土地に建っていた日本家屋の飾り障子と欄間を移設。利用者と同じ世代の人が暮らしてきた〝家〟らしい雰囲気を演出している。また口腔ケアに力を入れており、洗面台を4台設置。水栓レバーは高齢者も扱いやすい大きなものを採用し、手が届きやすいように手前に配置した。デイサービスは土日も営業している。

外観は土地の傾斜を活かした高低差のあるアプローチと豊かな植栽が特色。入口付近にはベンチが置いてあり、散策気分も味わえる。エントランスの「ありがとう」と刻まれた特注のお地蔵様が訪問者を温かく出迎えてくれる。

1階の通りに面したスペースに設けたカフェでは、利用者や近隣住民が集い、気軽にコーヒーなどを楽しめる。「地域の介護事業者・ケアマネジャーもお茶を飲みながら情報交換したり相談したりできる場をつくりたい」という想いも実現した。

開設半年ほどだが、既に死亡退居が3人。うち2人を施設で看取った。入居者の平均要介護度は3前後。デイサービスを含めたスタッフ数は看護師2名を合わせ18名。夜間は常勤2名体制。今後は訪問サービスのニーズにも応えるため、訪問介護事業所も設ける予定だ。

入居費用は家賃5万円、管理費2万円、食費4万5000円、水道光熱費・洗濯代などで月額13万2000円。

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