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2018年11月21日号

ケアマネ受験者6割減/過去最少4万9000人

 10月14日に実施されたケアマネジャーの実務研修受講試験で、受験者数が4万9312人となり、前年の13万1560人を大きく下回る過去最少となった。大きな要因は受験資格の変更によるもの。質の向上をめざした資格変更だが、課題をはらむ結果となった。

 

 

 介護支援専門員(ケアマネジャー)実務研修受講試験は、今年が第21回。第1回の1998年度からの受験者・合格者の推移は図の通り。ここ5年をみると、受験者は2014年から順に17万4974人、13万4539人、12万4585人、13万1560人、4万9312人となっている。
過去、受験者が10万人を切ったのは2001年の9万2735人と翌02年の9万6207人の2回。今回の激減ぶりがわかる。

 

 

 今年度から、受験要件のうち、第3号および第4号の「介護等業務に従事する者」が、算入できなくなった。「介護等業務に従事する者」が受験するには、「介護福祉士登録後5年以上かつ900日以上従事」が必要になる。

 

 

 2025年問題を控え、在宅への動きや地域包括ケアシステムの推進など、今後、ケアマネの役割はより重要になってゆくとみられる。今後は人材確保と質の担保との両立が課題となる。
 受験者減の要因や今後の影響について、淑徳大学の結城康博教授に話を聞いた。

 

 


※※識者に聞く※※

淑徳大学 総合福祉学部
結城康博教授

“門戸狭めてはならぬ”

 受験者減少の理由にはいくつかある。

 

 第1に、受験資格の厳格化だ。介護現場での5年以上のヘルパー経験などで受験できたものができなくなり、看護師や医師、介護福祉士や社会福祉士などの資格を持っていることなどが受験資格となった。これが最大の要因である。


 第2には、処遇改善加算の効果がある。この間、所得改善が進み、介護スタッフとケアマネとの給与差が縮小してきた。無理をしてケアマネにならなくてもよくなったと言える。


 第3には、ケアマネの仕事の多様化・多忙化がある。仕事が多様化し、ほとんどの時間を事務作業に費やすようになった。利用者とは月に1回15~30分話す程度というケアマネが多いだろう。ケアマネの本来業務である「利用者に寄り添う」ことができず、仕事に魅力を感じることができなくなっているのではないか。


 第4には、高齢者像の変化がある。中には「モンスター利用者」と言いたくなるような人もおり、かなりストレスフルな環境だ。

 


 基本的に、受験資格の厳格化は、質の担保のため。しかし、入り口を狭めるこの形は、私は失敗だったと考える。もちろん、質の担保は重要だが、問題の難度を上げることや受験後の講習内容などによってもそれは可能だったはずだ。
 労働力不足が自明であり、そもそも介護系の職につく人が少ない中でケアマネは介護職種の中では人気職だった。にもかかわらず、その門戸を狭めることは、介護産業自体の門戸を狭めることになり、産業にとどまる人を失いかねない。

 


 この18年、ケアマネは、いわば介護保険第一世代が中心を担ってきた。彼らは2025年にはまだ元気だろう。しかし、2035年にはどうか。団塊の世代が80代後半を迎える最も大変な時期に、次の世代が育っていなければならない。その「次の世代」が現在の受験者たちなのだ。今は、後継者を育てる必要がある時期。その意味で完全な失策と言えるだろう。