もうすぐ新年度を迎え新入職員研修が始まります。通常どの法人でも、介護実技などの集合研修後に、職場でのOJT(on the job training)に移ります。新入職員は仕事のほとんどをこのOJTで身に付けますから大変重要な研修です。ところが、この研修の体制が整っていないために、新入職員に無理な介護をさせて事故につながるケースが増えています。現場では慢性的な人材不足から、すぐに戦力として一人前の業務をさせようとしますが、大きな事故を起こせば自信を失い離職するケースもあります。せっかく採用した職員を大切に育てるためには、OJTの体制を整えると同時に事故防止対策が必要です。

■ミスがすぐに直接身体危害につながる仕事
新入職員は知識も技術も未熟で業務にも慣れていませんから、必ずミスをします。誰でもミスをしながら指導を受け、少し辛い思いをしながら一人前の職業人として成長していくのです。
現場では実際にサービス提供をしていますから、新人と言えどもミスをすれば利用者に迷惑をかけることがあります。多少の迷惑であれば管理者が指導不足を詫びることで許されるかもしれませんが、身体に危害が及ぶ事態となれば謝罪だけでは済まされません。

介護はミスが直接利用者の身体的な危害につながる危険な仕事です。知識も技術も未熟な新入職員に、完璧な介護はできませんから、指導する現場は重い責任を負いますが、未熟な新入職員であることで利用者は許してはくれません。
残念ながら多くの介護現場では、OJTの体制や手順が現場に丸投げされていて、指導育成の仕組みができていないので、様々なトラブルが起きています。では、どのようにOJTの体制を作ったら良いでしょうか?

■新人OJTに必要なマンツーマン指導
安全にOJTを行うためには、利用者に迷惑がかからないようにきめ細かい指導と配慮を行う、指導役が身近にいなければなりません。特定の先輩職員が新入職員の指導役となって、指導する仕組みが必要なのです。医師も顧客に危害が及ぶ危険な仕事ですから、指導医というマンツーマンで指導を行う先輩がいます。この仕組みは「ブラザー・シスター制度」「メンター制度」などと呼ばれ、多くの会社で導入されていますが、最近では新人のメンタルをフォローするためにこの仕組みが重要視されています。
具体的には、先輩職員が新入職員に利用者個別の対応方法を教えて、実際に目の前で業務をさせて至らないところを指導します。また、何度も繰り返して実践させて指導し、PDCAを繰り返すことで、自ら学ぶ力や課題解決能力も身に付けさせます。新入職員は座学や実技の研修では学べない、活きた現場での利用者対応の配慮や工夫を学ぶ貴重な機会となります。ですから、指導に当たる職員も、利用者への対応能力に優れた新人の教育に適した能力の高い人材が必要になります。

■OJTにおける事故防止のポイント
では、実際にはどのような手順でOJTにおける事故防止対策を講じたら良いのでしょうか?
次のポイントだけは必ず押さえて詳細なマニュアルを作成して下さい。
①新人が身体介護を担当する(介助しても良い)利用者を決める。比較的軽度で認知症の無い身体介護がしやすい利用者を、新人の身体介護の担当とします。
②担当する利用者の既往症、障害の状況などの情報を一覧にして覚えさせ、介助方法を先輩職員が実演して見せて注意点を説明します。
③先輩職員が利用者個別の介助方法を、新人に実地指導して身に付けさせます。
④担当する利用者の介助上の注意点をメモさせ、絶えず確認しながら介助に当たらせます。
⑤実際に介助するときは、必ず先輩職員を呼び一緒に介助します。
⑥介助中に疑問に思ったり危険に感じたりした点を記録させ、一緒に危険回避の方法を考えます。

㈱安全な介護 山田滋代表
早稲田大学法学部卒業と同時に現あいおいニッセイ同和損害保険株式会社入社。2000年4月より介護・福祉施設の経営企画・リスクマネジメント企画立案に携わる。2006年7月より現株式会社インターリスク総研、2013年4月よりあいおいニッセイ同和損保、同年5月退社。「現場主義・実践本意」山田滋の安全な介護セミナー「事例から学ぶ管理者の事故対応」「事例から学ぶ原因分析と再発防止策」などセミナー講師承ります。詳しくはホームページanzen-kaigo.comで。

新人OJTにおける事故防止策 先輩職員とペアで介助 /安全な介護 山田滋代表

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