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利用者取り違えて誤食・誤配

「山田さんだと思って服薬したら実は山野さんでした」という誤薬事故が起きました。施設長は利用者の確認不足が原因だから、「服薬前のダブルチェックの徹底」と指導しました。しかし、職員は山野さんを山田さんと間違えて、山田さんの食事を山野さんに食べさせていました。服薬も間違えていますが同時に食事も間違えているのです。この食事の間違い(誤食・誤配事故)は、食物アレルギーの児童がたくさんいる幼稚園や保育園では大きな問題ですが、なぜか高齢者施設では事故扱いもしていません。施設の誤食・誤配対策を考えます。

 

■高齢者施設では問題視されない誤食・誤配事故
幼稚園や保育園では食事を取り違えれば食物アレルギーによって命にかかわる事故となる可能性があります。児童施設では食膳の受渡し時にアレルギー原因食材のチェックをしたり、専用食器・トレー・名札などで識別したりするなどしていますが、それでも3割もの施設で誤食・誤配事故が発生しています。
高齢者施設でも、食事の間違いは園児のアレルギー食材と同様に生命にかかわる事故につながる危険があります。なぜ高齢者施設では、誤薬事故ばかりが問題視されて、誤食・誤配事故は問題にならないのでしょうか?嚥下食の利用者に普通食を出せば誤嚥するかもしれませんし、高齢者も食べてはいけない食材(禁忌食)もあります。誤薬防止対策と並行して食事の間違いも防止しなければなりません。では、どのよう対策を講じたら良いのでしょうか?

 

 

■施設の誤薬防止対策の現状は?
どの高齢者施設でも、誤薬防止に取り組んでいますが事故は減っていないのが実情です。
一般的な高齢者施設のマニュアルには、「服薬前には利用者の氏名をフルネームで声に出して読み上げて職員2人でチェックする」と書いてありますが、この方法は効果がありません。慌ただしい食事介助の時間中に2人でチェックすれば、お互いに相手をあてにしてチェックが疎かになるからです。服薬直前のチェックは、利用者の写真と薬の写真を載せた服薬確認カードを使えば良いのです。
しかし、服薬直前に利用者の取り違えに気付いても、食事の間違いは防げません。前述の山野さんの誤薬事例では、山野さんを食事の席に誘導する時に、山田さんだと勘違いをしていましたから、服薬直前のチェックを工夫しても食事のチェックをしなければ誤食・誤配は起こります。食膳には食札が立っていますが顔写真がありませんから、食事の席についてい
るのが本人かどうかわかりません。誤薬も誤食・誤配も同時に防止する方法はないのでしょうか?

 

 

■食事も服薬も一元的に管理すべき
入院病棟では利用者の腕にバーコードを付けて、食事も服薬も全てバーコードをピッピッと読み取って確認していますから効率的です。高齢者施設の利用者にバーコードを付ける訳にはいきませんが、このチェック方法はヒントになります。
まず、食膳には必ず食札が付いていますから、この食札に利用者の顔写真と薬の写真を載せます。服薬タイミング毎に薬名を記載するとゴチャゴチャしますから、薬の写真だけで良いと思います。利用者を食膳にお連れしたら食膳の氏名を読み上げて顔写真を確認します。
食事介助が終わって服薬の時間になれば、薬をお薬ボックスからピックアップ(この時も氏名と服薬をチェック)して食膳に戻り、服薬直前の最終チェックを行います。手に取った薬と食札の薬の写真と照合し、利用者の顔と食札の顔写真を照合します。
この方法であれば、食事をする前に食事と利用者を一致させることができますから、誤食・誤配と誤薬を同時に防げます。もともと食事介助と服薬介助は一体ですから、一元的に管理すべきなのです。先日知的障害者施設で「ボーっとしていても間違いに気付くチェック方法」と言ったら職員に笑われましたが、人間は絶えず緊張していられません。

 

安全な介護 山田滋代表
早稲田大学法学部卒業と同時に現あいおいニッセイ同和損害保険株式会社入社。2000年4月より介護・福祉施設の経営企画・リスクマネジメント企画立案に携わる。2006年7月より現株式会社インターリスク総研、2013年4月よりあいおいニッセイ同和損保、同年5月退社。「現場主義・実践本意」山田滋の安全な介護セミナー「事例から学ぶ管理者の事故対応」「事例から学ぶ原因分析と再発防止策」などセミナー講師承ります。詳しくはホームページanzen-kaigo.comで。

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