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承継法人すべて黒字化

病院やクリニック、介護・保育など10法人・27事業所を展開するさくらライフグループ(東京都墨田区)。2010年までに新設した3クリニックを除き、そのほかすべては破綻した法人を承継したもの。最近ではその実績から多くのM&A案件が持ち込まれている。中田賢一郎代表に話を聞いた。

 

 

──グループの概要は
中田 医療・介護分野で10法人・27事業所を運営している。関連法人を含めると18法人、職員数は約1300人だ。

 

 

──医療・介護については事業承継が多くを占める
中田 これまで事業承継についてこちらから望んだものは一つもない。ほかに買い手が付かなかった難しい案件が持ち込まれている。こうした法人は基本債務超過で資金ショートの状態。再生にはかなりの労力を費やすことになるため、好き好んでやりたい仕事ではない。ただ地域の拠点としては残すべきだという使命感に近い。

 

 

赤字要因多くは放漫経営
立て直しにリストラ不要

──医療・介護業界は他産業に比べ規模は小さいがM&A案件が多い。その理由をどうみているか
中田 後継者不在なども増えつつあるが、当グループで取り組むことが多い中規模程度の医療機関は、ほとんどが経営不振によるものだ。その原因はファイナンス、ヒューマンリソース、マーケティングなどさまざま考えられるが、多くは放漫経営だ。
かつてのように「経営」をしなくても利益を出せた時代を引きずっているケースが散見される。時代が変わっていることに付いていけていないのではないか。

 

 

──事業承継可否の線引はどこにあるのか
中田 デューデリジェンス用資料数年分があれば、グループ独自のノウハウで再生可能かの判別ができる。グループでは病院・CLから在宅医療、施設・在宅介護まであらゆるサービスを揃えており、本部スタッフはその稼働率から売上・経費まで日々細かな数字を追っている。患者・利用者の流れを予測しながら承継後の数字をはじくことができる。事実、当グループ以外で引き受け手が見つからなかった法人でも再生(黒字化)できなかったことはない。

赤字の企業を直すのも、病気の人を治すのも手順は結局同じだ。十分に検査し、話を聞き、ヒストリーを把握し診断を行う。診断がつけば治療方法は決まってくる。

 

 

──再生が難しいケースは
中田 ファイナンスやヒューマンリソースの問題はよほどのことがない限り障壁とは思わない。ネックになるのは退職金債務が大きすぎたり職員の給与が高すぎたりするケースだ。法律や賃金規定、就業規則などから慎重な判断が求められる。経営層だけではなく、時には職員の給与に手を入れる必要もある。一人ひとりと面談をし、運営状況を理解してもらいながら経営改善を進めていくのはなかなかハードな仕事だ。ただ、丁寧に説明することで、PMI(買収後の経営統合作業)フェーズで去っていく職員は1割に満たない。また、リストラ前提の承継は絶対にしない。

 

 

継承後も退職少なく

──医療・介護業界は慢性的な人材不足。ましてや事業承継で経営者が替われば不安は大きい
中田 私は今でも訪問診療で高齢者を診ているが、一番大切なのはその人の生活を見ることだと考えている。自宅にどんなものがあって、何を大切に思っているか。そこから会話の糸口を探り、本人の望む生活・最期を想像する。職員に対する姿勢もこれと似た感覚を持つべきだ。
さほど大きな組織でもないのに、経営者・院長が職員の名前さえ知らないことがある。彼らがどんな人生を歩んできて、どんな生活をしていて、家族構成がどうなのか、それを理解しようとしなければ職員はついて来ないだろう。患者のカルテは見ても職員の経歴を見ない経営者が多過ぎる。

 

 

──今後の展開について
中田 グループの強みは在宅と慢性期。距離的・サービス的なシナジーがあればベストだが、当グループとして再生可能とみれば遠隔地でも事業承継は継続していく。今後も拠点が増えていくことを考えれば、すべて代表の私が管理することは不可能。経営感覚のある後進を育てることが課題だ。医師で数字に強く、管理能力のある人間が理想だ。
現状、医療・介護のベッド数で1000超、在宅患者数で約4000名。特に明確な目標として掲げているわけではないが、25年までに医療・介護のベッド数で5000、在宅患者で1万名は達成できると考えている。

 

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