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集中連載 フィンランド リトアニア視察レポート

幸福度の最も高い国フィンランド

人口550万人の小国フィンランドは、地政学的にも気候的にも財政的にも厳しさの中で、充実した子育て支援や高い教育水準、世界トップクラスの「高福祉」を「高負担」で維持している。その「全世代型社会保障」の効率と効果に寄与しているのが、90年代からの急速なICT産業の進展である。5Gなど高い技術力と政策の後押しを受けてデジタルサービスが浸透し、地域包括ケア的新プロジェクトも展開されている。

 

 

また、2016年から急速な高齢化(20・9%/2016年)や地域間格差などを受けて保健医療と福祉のバランスや効率化・合理化、コスト削減と地方自治体の行財政再編を同時に進めるドラスティックなSOTE改革が進行中でもある。フィンランドの最新情報を視察から得たわが国への示唆とともに報告する。

 

 

社会保険機構KELAが運営する社会保障サービス
“高福祉”維持へ改革推進

フィンランドの社会保障は、国民の「普通の日常生活の保障」をキーコンセプトに、「人生に関わる変化をサポート」する。人々の尊厳を守る「高福祉」は、人こそ国の力だということを示唆し、「高負担」は全世代への再分配で見返り感がある。

 

 

KELAはその〝ゆりかごから墓場〞までの「全世代型社会保障」のサービス給付を担う機関である。国民が持つKELAカードには社会保障番号が記載され、給付と負担、ヘルスケア関連のデータも個人に紐付けされている。

 

 

出産から保育・学業・就労・住宅・失業・疾病・障害・年金・高齢者サービスまで「一気通貫のサービス給付(現金給付も)」をみると、わが国の縦割り行政がいかに非効率で無駄と書類が多いか、周回遅れすら実感させる。申請の7割はインターネットからで、7ヵ国以上の多言語に対応している。

 

 

まず出生時には、国民に人気の「育児パッケージBaby Box(箱に入った新生児の育児に必要な衣類やグッズ一式)」、または170ユーロの現金が給付される。子育て支援のネウボラは全自治体で運営、子どもたちは小学校入学まで担当保健師がサポートしデータも保存される。
母親休暇・父親休暇・両親休暇などの育児支援や、17歳までの子ども手当など手厚い。住宅家賃補助や失業・退職時の最低保障、年金もここから給付される。

 

 

医療や障害関連では、医療費、検査、薬剤費、リハビリテーション、疾病手当てなどが給付対象、実際の医療福祉サービス提供は自治体の責務となる。

興味深いのは、「離婚の慰謝料の補填」まであることだ。なにせ現政府の閣僚19人中
11人(6割)が女性という男女平等が〝普通〞の国は政策も人に優しい。

 

 

ベーシックインカム最低保障の実験

2017年から「ベーシックインカム」の実証研究を2年間実施し検証している。失業手当受給者から抽出された2000人に560ユーロ/月を支給したものだが、効果もあったが実際に導入するには課題もあり、政党間でも賛否両論がある。現政権には「高負担」に「マイナス所得税構想」があり、〝実験国家〞はこれからも目が離せない。

「国民の幸福度にKELAのサービスは貢献しているか」との問いに、担当官がYesと答えていたのが印象的だった。

 

 

山崎摩耶氏 元衆議院議員・前旭川大学教授

訪問看護のパイオニアとして訪問看護制度創設に尽力。介護保険は創設時より社会保障審議会・介護保険部会、介護給付費分科会、ケアマネ養成、身体拘束ゼロ作戦会議の座長等でかかわる。日本看協会常任理事、日本訪問看護振興財団常務理事、全国訪問看護事業協会常務理事を歴任。2009年衆議院総選挙に北海道比例で初当選。2017年総選挙では惜敗。主な著書は「患者とともに創る退院調整ガイドブック」中央法規出版社、「最新訪問看護研修テキスト」日本看護協会出版会(編著)など著書、論文多数。

 

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