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【集中連載 最終回】フィンランド リトアニア視察レポート

 

リトアニアの医療と高齢者福祉

バルト3国のリトアニア共和国。大聖堂を中心とした首都ヴィリニュスも美しい街だが、一歩通りを入るとゲットーなど戦争の影が身近にある。1990年にソ連から独立再回復した人口280万人の小国だが、80%が英語を話し、50%は母国語以外に2〜3ヵ国語を話すという水準の高さに、国家の歴史をみる。

 

 

ライフサイエンスやバイオテクノロジー、レーザー技術など最先端を誇り、国家経済をけん引するのはICT業界で、政府は「ヨーロッパにおけるフィンテックのHub」を目指した政策をとっている。

 

 

リトアニアの医療は国民皆保険で福祉は自治体が担う。高齢化率は22.4%で平均寿命は74.9歳(2015)だが、60年には高齢化率37%と予測されている。

 

 

高齢者福祉は施設系ではケアハウス(ホーム)、ケアファミリー、一時居住ハウス、デイセンター、自立生活ハウス、ケアセンターなどがあるが、施設は不足しており、大多数が在宅で家族等によるインフォーマルケアを受けている。

 

 

ヴィリニュスでは126ヵ所の高齢者施設に6071人が居住(18年)しているが、入居までの待機は長い。

 

 

福祉と医療のインテグラルケアに
ケアホーム・セネビタを視察
ヴィリニュス近郊のケアホーム・セネビタは、別荘地だった広大な敷地の素晴らしい自然環境の中にあった。前庭には100人はいるだろうか?車椅子の高齢者たちが秋の陽を浴びて日光浴をしながら音楽を楽しんでいた。

 

創立時は工場労働者のリハビリセンターだったが高齢者施設に転換、1997年からは公設民営となり、高齢者のケアホーム・医療リハビリ・認知症ユニットの3部門でセネビタ社が運営している。18年に施設を拡大して、ケアホームは要支援レベルの自立から医療ケアの必要な重度者まで280人が入居、医療リハビリは44床、リトアニアで初の認知症ケアユニットは20床となっている。

 

 

スタッフは約200人という。入居の待機期間は、市役所福祉課経由(公費)だと半年から1年だが、全額自費(入居費用は月800ユーロ)なら3ヵ月で入居できる。

 

旧ソ連時代の建物を使っているので老朽化もあるが、「2人部屋を全室個室ユニットケアにしたいがリフォームの資金がない」と嘆くのは、副施設長の看護師・ソーシャルワーカーのインドレさん。
日本からの高齢者ケアの国際協力もあって良いと実感した懇談となった。

 

 

福祉と医療の地域包括ケアに改革
大統領府は「国内には67万人の高齢者がおり、障害を持つ高齢者は6万4000人を超えている。

高齢者は医療と福祉の2つのシステムの間で、たいていの人が両方のサービスを必要としているにもかかわらず、抜け落ちてしまっている」(18年・ニュースサイト15min)との危機感から、福祉と医療のインテグラルケアを開始し、急増する高齢者福祉費に対応している。18年には、地方自治法やヘルスケア・ソーシャルサービス法令改正等、政策転換もしている。

 

 

このように政治の高いレベルでも、自宅においても施設においてもソーシャルケアと健康管理の統合されたサービスが必要であり、公式な長期介護及び看護サービス提供者の輪の拡大が不可欠であることに、注意が払われている。

 

 

在リトアニア日本国大使館大使公邸を表敬訪問した際には、山崎史郎駐リトアニア特命全権大使から、リトアニア保健大臣に日本の介護保険など施策の講演をしたところ「地域包括ケアシステム」に大いに関心を持たれたと聞いた。

日本の地域包括ケアシステムは高齢者ケア転換期のリトアニアからも関心を寄せられている。

 

元衆議院議員・前旭川大学教授
山崎摩耶 氏

訪問看護のパイオニアとして訪問看護制度創設に尽力。介護保険は創設時より社会保障審議会・介護保険部会、介護給付費分科会、ケアマネ養成、身体拘束ゼロ作戦会議の座長等でかかわる。日本看協会常任理事、日本訪問看護振興財団常務理事、全国訪問看護事業協会常務理事を歴任。2009年衆議院総選挙に北海道比例で初当選。2017年総選挙では惜敗。主な著書は「患者とともに創る退院調整ガイドブック」中央法規出版社、「最新訪問看護研修テキスト」日本看護協会出版会(編著)など著書、論文多数。

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