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---【連載第11回】子ども家族総合支援の最前線に立つのは----

地域でネットワークを構築し
情報可視化で中心的役割を

11月13日、日本記者クラブにて、日本大学危機管理学部准教授の鈴木秀洋氏による「子どもを虐待から守るには」の会見が行われ、今後の児童虐待対応における、法制度設計の課題などが語られた。

 

 

鈴木氏は、東京都文京区の子ども家庭支援センター所長などとして、これまで自治体の児童虐待やDVの現場において相談やケースワークを経験し、チームの陣頭に立ってきた。現在は、研究者・自治体のアドバイザーとして、全国の自治体の現場を訪ね児童福祉関係者との意見交換を重ね、千葉県野田市と札幌市の虐待死事件の検証委員も務めている。

 

 

要対協の役割、画期的と評価

鈴木氏は、親からの虐待を受け、幼い命が奪われる痛ましい事件が繰り返される現状に、自治体は、これまでの仕事の姿勢、手法を変えなくてはならないと強調する。また、報道では、児童相談所(児相)や自治体の担当部門が厳しいバッシングを浴びるが、2016年の児童福祉法改正により、子ども家庭総合支援の最前線に立つのは、市区町村であることが明確に定められ、児相はリスクが高い重大案件の保護・介入というような一部を担う機関となった。画期的な仕組みとして評価するのは、「要保護児童対策地域協議会(要対協)」の役割だという。子どもの命を守る枠組みの柱として、自治体の子育て支援拠点、医療機関や保健所、児相、学校、地域の警察、民間団体など地域全体のネットワークを面でつなぎ、ピース情報を立体的に可視化する機関だ。

 

 

ネットワークづくりの〝司令塔〞となるのは、法律上、市区町村の調整機関であるが、十分に果たされていないと指摘する。司令塔の存在は、「地域包括ケアシステム」においても同様の課題を抱えているといえる。

誇れる地域をどのようにデザインするのかは、市区町村が戦略を練り、地域マネジメント向上にまい進するべきではないか。

 

 

自治体全体での取り組み不可欠

鈴木氏は、11月に「子を、親を、児童虐待から救う先達32人現場の知恵」(公職研)を上梓した。研究者、実務者、ジャーナリスト・自治体の長など子供の安全・安心に心血を注いでいる人たちが執筆しているという。

 

 

鈴木氏は本書の中で、「現場で子どもと関わる職員に求められているのは、権利主体としての一人ひとり異なる子どもたちの視点から、世の中を観るという手法を身につけるということである。一人ひとりの声にならない声に耳を傾けて、その環境に身をおいて、話を聞き、関わり方を一人ひとりごとに変える。それには、(中略)自治体トップによる覚悟を持った人事政策、環境づくりといった自治体全体での取り組みが不可欠となる。」と職員個人の能力と、組織マネジメント向上の重要性を主張する。今こそ時代の要請に応えるべく、そこに暮らす人々を守れる地域力。つまり、ソーシャルキャピタルの醸成が求められている。

 

 

小川陽子氏
日本医学ジャーナリスト協会理事・広報委員。国際医療福祉大学大学院医療福祉経営専攻医療福祉ジャーナリズム修士課程修了。同大学院水巻研究室にて医療ツーリズムの国内・外の動向を調査・取材にあたる。2002年、東京から熱海市へ移住。FM熱海湯河原「熱海市長本音トーク」番組などのパーソナリティ、番組審議員、熱海市長直轄観光戦略室委員、熱海市総合政策推進室アドバイザーを務め、熱海メディカルリゾート構想の提案。その後、湖山医療福祉グループ
企画広報顧問、医療ジャーナリスト、医療映画エセイストとして活動。2019年より読売新聞の医療・介護・健康情報サイト「yomiDr.」で映画コラムの連載がスタート。主な著書・編著:『病院のブランド力』「医療新生」など。

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