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 3月期決算の介護関連上場企業における、2020年3月期第2四半期決算が出揃った。18年度の介護報酬改定を乗り越え、前年同期比でみると、すべての会社で介護事業セグメントの売上が伸びている。大手介護事業各社の収益の増減要因や、今期の取り組みなどを紹介する。

 

 

介護事業売上高 ニチイがトップ
ニチイ学館  森信介社長
▼ニチイ学館(東京都千代田区)は、5年連続で過去最高上期売上高を更新。主力の介護セグメントでも増収増益、売上高は前年同期比1.4%増の765億6600万円、経常利益は7.2%増の62億1200万円。

同社は、居住系サービスにおいて利用者退去後の空き期間の短縮化に向け、拠点間の連携を強化。利用者数の増加および稼働率向上が、増収増益を牽引した。在宅系介護サービスにおいては、介護人材の確保・定着および中重度者対応の強化に注力。中重度の利用者増加により顧客単価が上の生産性も向上した。

今後の戦略としては、訪問介護拠点の拠点分割の推進、ドミナント化による業務効率向上など。
なお、保育事業では園児増加により増収、積極開設に伴う先行費用による営業損失も改善傾向。フィリピン人スタッフによる家事代行「サニーメイドサービス」をメインとするヘルスケア事業でも、定期利⽤率の上昇により増収となったが、外国⼈スタッフの受け⼊れ増加に伴う先⾏投資により減益となった。

 

入居率向上で売上増 新規開設も積極的に

 

入居率更に改善 ICT活用注力

SOMPOケア 遠藤健社長

  

▼SOMPOホールディングス(東京都新宿区)の介護事業セグメントは増収増益。売上高は前年同期比2.4%増の633億5200万円、経常利益は74.9%増の43億1900万円。

経常利益の大きな伸びは入居率改善による。全施設の平均入居率は2016年に80%を下回ったが、現在91.8%。今年度末には92.1%を見込む。

ブランド別入居率は、旧メッセージの介護付有料老人ホーム「そんぽの家」が94%、サービス付き高齢者向け住宅「そんぽの家S」が93%。旧ワタミの「ラヴィーレ」は88.7%だが、今期の伸び率は最も高い。

今期の開設予定はなく、注力するのはICTデジタルの活用。コストカットに取り組み、スタッフの処遇改善に充てていきたい考えだ。

また、同社では今月より、新卒採用に向けた取り組みを新たに開始。今年度における同社の新卒採用は200名。うち介護・福祉を専門的に学んできた学生は約3割で、7割は一般学部の卒業生であることを踏まえ、「介護の魅力や実際の仕事内容、当社で描くことができるキャリアプランを正しく知ってもらい、多くの学生に介護業界への就職を検討してもらいたい」としている。

 

 

高価格帯を強化 展開エリア拡大

ベネッセスタイルケア 滝山真也社長

▼ベネッセホールディングス(岡山市)の介護・保育事業は増収増益。売上高は前年同期比5.6%増の608億1800万円、営業利益は9.4%増の57億1600万円。

増収の要因としては、高齢者施設9施設の新規開設に伴う入居者数の増加。同社は引き続き、高価格帯のハイエンドホームの強化・拡大と「年間約10施設の新規開設」「高入居率の維持」を進めていく。

展開エリアは拡大傾向。昨年9月には九州(福岡市)に初出店した。19年9月末時点での高齢者住宅・施設の総数は326ホーム。

人事制度改定も重要なテーマとして掲げており、同社では昨年10月より年間14億円を投じて正社員の介護職員の介護福祉手当を増額。介護福祉士のリーダー職の84 %が所得500万円以上、リーダー職以外についても97%が440万円以上となった。専門資格制度も新設した。

 

 

デイ営業強化へ 18年改定影響も

ツクイ 高橋靖宏社長

▼ツクイ(横浜市) は増収減益に。売上高は前年同期比4.5%増の450億1100万円、経常利益は27.5%減の16億8100万円。

減益の主な要因は「人材確保が上手くいかず、人件費の増加によるダメージが大きかった」こと。中でも訪問介護および訪問入浴における採用が期待通りに進まなかったという。

主力事業のデイサービスは、利用者数は増加しているものの前年比の増加率としては鈍化傾向。取引実績のない新規ケアマネジャーへの営業活動および新規出店の加速により、顧客獲得を進める。同時に、人員配置基準の見直しやテナント出店などの出店形態の多様化により、コストコントロールを実施する方針を示している。

今後、訪問看護を起点とした医療連携を推進。今期は訪問看護事業所3ヵ所の開設および開設準備を進めた。

 

 

全サービスで 稼働率が向上

ユニマット リタイアメント・コミュニティ 中川清彦社長

▼ユニマット リタイアメント・コミュニティ(東京都港区)の介護事業セグメントは増収増益。売上高は前年同期比4.4%増の247億4200万円、営業利益は3.5%増の28億1200万円。

新規施設の開設費用やICT化の推進によるシステム投資費用などが増加したものの、主要サービスすべてにおいて稼働率および入居率が向上したことで売上が堅調に推移、黒字着地となった。

同社は、昨年3月より新規開設を進めている定期巡回・随時対応型訪問介護・看護の開発に注力。順次開設し、今期末時点で全11ヵ所と予定している。

また、今年11月に新たな事業モデルとして開設した有老・定期巡回・居宅介護支援からなる複合施設は、同社初の「看取り特化」の施設だ。

ほかにも、保険内・保険外サービスと就労支援を組み合わせた一体施設「ウェルビスタケアスタジオ」の展開など、多様な新規事業・新規拠点開発により、ワンストップサービスの拡充を目指す。

 

 

人材確保課題に 技能実習受入も

セントケア・ホールディング 森猛社長

▼セントケア・ホールディング(東京都中央区)は増収減益。売上高は前年同期比4.0%増の207億5500万円、経常利益は13.8%減の7億5500万円。

同社は、当第2四半期において人材確保を重要課題とし、①看護師・介護福祉士などの専門職を中心とした採用・育成、②首都圏における外国人技能実習生の受け入れ、③特定技能におけるベトナムの大学との提携などに注力。

また、医療的ニーズの高まりに鑑み、訪問看護および小規模多機能・看護小規模多機能の開設を進めている。訪問看護は、当期中に新規営業所を10ヵ所開設。看多機も4ヵ所開設し、利用者増により増収増益となった。

施設系をみると、デイサービス、小多機、看多機が増収増益である一方、グループホームでは外注派遣費の増加が利益減少につながった。

全体の減益の主な要因としては、新規開設に伴う採用による人件費の増加。通期予想に変更はなく、売上高は前年比6.1%増の436億1000万円、経常利益は0.2%減の16億7300万円を見込む。

 

 

M&Aも活発傾向

 

今期M&Aは 8件締結済み

ソラスト 藤河芳一社長

▼ソラスト(東京都港区)の介護事業のセグメントは増収増益。売上高は前年同期比39.3%増の171億1700万円、営業利益は5.1%増の8億9000万円。

4月に実施したなごやかケアリンクの子会社化などにより、大幅な増収となっている。なごやかケアリンクの当期間における営業利益は黒字で、「買収後の統合と利益貢献が着実に進捗している」という。なお、既存事業所も利用者数の維持・拡大を継続。

また、同社は10月31日に、資本・業務提携先である日本医師会ORCA管理機構(同文京区)の子会社であるICI(同)に出資している。データと医療、介護のシナジーで科学的介護の実現に向かう。

M&Aについては、11月11日時点で8件の契約を締結。引き続き業績の上積みおよび来年度の成長基盤と捉え、積極的に取り組んでいく方針だ。

 

 

人材教育に強み 職員定着すすむ

ヒューマンライフケア 瀬戸口信也社長

▼ヒューマンホールディングス(東京都新宿区)は増収増益。介護事業セグメントにおける売上高は前年同期比3.6%増の51億200万円、営業利益は34.8%増の2億2200万円。

同社は今期、サービス品質の標準化と人員配置の最適化に注力。施設の稼働率および入居率が向上したことが大幅な増益に寄与した。施設系サービスでは、ドミナント戦略を活かし人材の過不足を運営施設間で解消。これが職員の定着につながり、入居率向上にも寄与した。

同社の強みである人材教育も推進。特に海外人材に対し、実践に加えケアのマインドをしっかり授けられる新たなプログラムも運用している。昨年は海外人材を3名採用、今年度内にさらに10数名を迎える。

今期は小多機およびGHを2拠点3事業所を開設予定。今後も年数ヵ所ペースで新規開設予定だ。

 

 

中国事業受注増 サ高住は譲渡へ

ケアサービス 福原俊晴社長

▼ケアサービス(東京都大田区)は増収増益。売上高は前年同期比4.7%増の46億200万円、経常利益は55.4%増の9300万円。

今期は、4事業所の新規開設による東京23区を中心とした在宅介護のドミナント戦略を推進。また、人材への投資・育成に注力した。大幅な増益は、増収に加え本社経費の圧縮によるとしている。

中国における介護サービス・エンゼルケア(湯灌)サービスの受注件数も増加。エンゼルケアでは、2つの葬儀場で行った新メニュー導入および料金体系の見直しが奏功し、施行件数は前年同期比153%となったという。

また、昨年7月に居宅・訪問介護を展開するひだまり(東京都台東区)の株式を取得、完全子会社化。23区東部において、近隣の既存デイとの相互補完やケアマネとの関係構築の深耕および利用者の拡大といったシナジーを見込む。

一方、昨年12月には、埼玉県内で4ヵ所運営していたサ高住事業を、元気村グループの関東サンガ(さいたま市)に3億4000万円で譲渡。今後は、主力の在宅介護事業に経営資金を集中させる方針だ。

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