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 介護人材の確保難は深刻だが、特に若手の獲得競争が熾烈化している。業界へのネガティブなイメージも先行。経団連ルール廃止も目前に迫り、先進的な事業所では様々な取り組みで確保に必死だ。2月、3月と次年度の新卒採用活動シーズンが本格的に始まる中、介護業界における若手人材採用戦線の動きを追った。

 

 

「名刺にユースエール認定マークを載せられることや、厚労省が認めた基準を満たした施設として新卒採用でアピールできることなど、メリットは大きい。認定後は安定して新卒採用を行えるようになった」と語るのは、特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人康和会(千葉県船橋市)の鈴木雅博事務長。

 

ユースエール認定制度とは、厚生労働省が音頭をとり推進している施策で、若者の採用・育成に積極的かつ若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業について、厚生労働大臣が「ユースエール認定企業」として認定する。

 

 

認定には要件があり、直近3事業年度に正社員として就職した新卒者等のうち同期間に離職した者の割合が20%以下、などといった計12の要件を満たす必要がある。

 

厚労省は取得企業に、ハローワークにおける採用や情報発信などで後押しする。企業が求める人材の円滑な採用を支援し、求職中の若者とのマッチング向上を狙う。
昨年10月末時点で全体の認定企業は635社。このうち、医療福祉関係は160社で、介護関係も87社が認定を取得している。

 

 

ユースエール認証を取得した事業者からは「認定を取ったら若手の応募者が増えた」、「大学のキャリアセンターから優良企業認定されて、これまで断られた大学の説明会に参加できた」といった声も挙がっている。

 

ただし、認定要件は毎年クリアする必要がある。東京都では、これまで53社を認定したが、全ての要件をクリアできずに認定を取り消されるケースもあり、現状で取得している企業は43社だ。東京労働局の曽我浩行若年雇用係長は「一度落選しても再申請は可能なので、何度も申し込むことで若者が働きやすい労働環境づくりに繋げてほしい。これをきっかけに労働環境が改善されれば」と語る。

 

 

若年層人材採用 自治体にも動き
介護分野での若手人材の確保に関し、国は「介護福祉士等就学資金貸付制度」などを実施している。介護福祉士養成施設などに在学期間中、1ヵ月あたり上限5万円などを無利子で貸付。また、5年間介護業務などに従事した場合、返還が全額免除となる。

 

 

さらに、自治体の独自の助成もある。例えば東京都の場合、介護職員として就職した新卒者を対象に、本人が返済する奨学金の一部を都が補助する、「介護職員奨学金返済・育成支援事業」を18年度から開始した。事業者からは「手当対象者から非常に喜ばれている」「若い介護職員の励みになる」との声が挙がっている。ただ、介護福祉士養成校などの入学者自体が減少しており、少ないパイを奪い合う場面はどんどん増えている。従来の制度枠組みに則った採用活動だけでは、勝ち抜くことは困難だ。

 

 

「経団連ルール」で新卒採用に変化
今後の介護人材確保を巡ってはもう一つ気になる要素がある。いわゆる新卒者採用に関する「経団連ルール」の廃止だ。昨年4月、経団連は新卒一括採用以外に通年採用を進める方針を示した。若手人材採用事情に詳しい大手人材紹介会社の関係者は「今後はインターンシップも含めた採用活動が必要となる。活動時期が前に伸びるようなイメージでシフトが進むのでは」と語る。

 

SOMPOケア(東京都品川区)の採用担当者は通年採用について「求職者視点を重視しながら、世の中の流れにあった採用を行えるよう進めていきたい」と語る。

 

新ルールの影響は、むしろ中小の事業所にしわ寄せがくる懸念がある。株式会社Join for Kaigo代表取締役、秋本可愛氏は「益々取り辛くなるため採用ターゲットを絞った戦略を練り、早めの対応が必要」と指摘する。
若年層人口が減少し他業界も人手不足。なおかつネガティブイメージも先行する介護業界の人材採用には逆風が吹き荒れる。

 

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