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---【連載第47回】財政規律と介護保険制度改革 

        ~地域包括ケアモデルの確立に向けて~---

 

小幅改定受け報酬単価の議論本格化

今年はいよいよ次期改定の直前となる大切な年です。今回より、昨年末に介護保険部会においてとりまとめられた、「介護保険制度の見直しに関する意見」について論考し、次期改定の動向を読み解いていきたいと思います。

 

 

今回は、年末のギリギリになってもなかなか結論の出ない状態が続いていました。その背景には大きく2つの要因があると推察されます。1つには、従来とは異なり、社会保障審議会主導でのとりまとめを行うことが難しくなっており、官邸、自民党、財務省などとの調整に時間を要する政治環境となっているためです。

 

 

2つめの要因は、今年4月改定の診療報酬改定の議論が優先されており、この議論の決着がついた後に介護報酬の議論に移るようなスケジュールとなっていたからです。診療報酬改定はすでに結論が出ましたが、本体部分がプラス0.55%、薬価がマイナス0.98%、全体ではマイナス0.46%の結果となり、本体部分は前回に続くプラス改定へと、介護報酬改定においても事業者にとっては期待の持てる結果となりました。

 

 

実際に、年末のとりまとめにおいて、報酬抑制へとつながる「持続可能な制度の構築」に関する8つの項目のうち、「多床室の室料負担」、「ケアマネジメントに関する給付の在り方(ケアプランの利用者負担設定)」、「軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方(要介護1・2の総合事業への移管)」、これら全ての結論が先送りされ、財政再建に向けた切込み不足な結果となりました。従って次期改定は、非常に小幅な改定となる可能性が高く、近年続いてきた社会保障改革は後退した印象です。

 

 

では、そのことによって我々介護事業者にとって次期改定は好ましい改定となるのかどうか?ということについては、まだ早計に結論を出してはいけないと思います。確かに、報酬抑制につながる各テーマが軒並み見送りとなったことは事業者の経営環境としては好ましいことでありますが、逆に、改革の目玉を失ったことで、今後の介護給付費分科会に議論の場を移した際には、財務省をはじめとした改革派から単純なる報酬単価の削減のみに焦点を絞って働きかけが行われることは想像に難くありません。

 

 

先行して結論の出た診療報酬改定の本体部分がプラス改定であることから、介護報酬改定もプラス改定の可能性もあり得ますが、決して安心できる環境ではなく、これからの1年間が我々介護事業者の今後の3年間を決定づける大変重要な1年であり、引き続き注視していきたいと思います。

 

 

㈱介護ベンチャーコンサルティング
代表 斉藤正行氏
2000年3月、立命館大学卒業後、㈱ベンチャーリンク入社。メディカル・ケア・サービス㈱の全国展開開始とあわせて2003年5月に同社入社。現在の運営管理体制、営業スキームを構築し、ビジネスモデルを確立。2005年8月、取締役運営事業本部長に就任。2010年7月㈱日本介護福祉グループ副社長に就任。2018年4月㈱ピースフリーケアグループ代表に就任。2018年6月、介護業界における横断的・全国的組織となる一般社団法人全国介護事業者連盟を結成。㈱日本介護ベンチャーコンサルティンググループの代表を務めている。

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