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社長に聞く---事業戦略インタビュー

 

 1970年創業、東証ジャスダック上場のケアサービス(東京都大田区)。介護実績50年、エンゼルケア(湯灌)実績30年の同社は中国でも事業を展開しており、受注件数は右肩上がりだ。国内外で手掛ける在宅介護事業と今後の展望について、福原俊晴社長に話を聞いた。

 

 

国内は23区ドミナントで拡充へ

──昨年12月にサ高住事業を譲渡、さらに訪問看護事業を譲受した。
福原 サ高住事業は、埼玉で4ヵ所運営していた事業所をすべて元気村グループの関東サンガに譲渡した。今後は東京23区を中心とした在宅介護事業のドミナント強化に資金を投入していく。

 

訪問看護事業については、クレアバーグより2事業所(直営1、サテライト1)を譲受したことで、当社の訪問看護事業所は3拠点になった。現在展開しているのは、デイが46拠点、訪問入浴が14拠点、エンゼルケアが24拠点、訪問介護が2拠点など。今期は買収・事業譲受が2件、譲渡が1件。今後も地域における顧客のニーズを深堀りし、そこに対応できるサービスを展開していく方針だ。

 

 

──M&Aへの姿勢は。
福原 M&Aで規模拡大をしていくのではなく、しっかりマーケティングをし、ドミナントを組む形で拡充していきたい。まずは自前で建てることを考えるが、経営難の既存事業所などの受け皿になりたいと考えている。利用者増加や人材確保などの目先のメリットよりも、継続的な成長を重視したい。

 

 

 

「日本式」が好評、湯灌拠点増加へ

──中国におけるエンゼルケア事業について。
福原 2015年に子会社「上海福原護理服務有限公司」を設立し、現在は上海市の3ヵ所の葬儀場でエンゼルケアを提供している。海外においてスケールを取るためには合弁会社をつくることが望ましいが、合弁先とのトラブルも想定される。しかし中国では葬儀が国営事業であり国と直接契約できることから、合弁会社を介さずとも事業展開できていることは当社の強みだ。

 

中国は仏教・儒教を重んじており、家族を大切にする。そうした文化に合致した、エンゼルケアの技術とスタッフの育成を重視。新卒のスタッフを1人前にするために、最低半年をかけて日本と同じ研修を受けてもらっている。日本人スタッフが定期的に現地に行きクオリティを保っているため、中国の葬儀場が求める「日本式」の評価は高く、口コミで広がっている。今期の上期における施行件数は前年同期比153%。受注件数も増加しており、今後も拠点は増やしていく方針だ。

 

 

 

──人材確保に向けた取り組みは。
福原 当社では、コストが高止まりしている採用の強化よりも「定着」を重視している。週40時間のフルタイム従業員を軸としてシフトを組むことは、女性の多い介護業界では今後難しくなる。子育てなどで一度現場を離れるスタッフについて、10時~14時などの時短勤務に対応し、復帰する人を「短時間正社員」としていく取り組みなどを行っている。

また、送迎ドライバーの確保については、事故を防ぐためにも年齢を下げたいと考え「正社員ドライバー」制度を創設。その上で正社員として長く働けるよう定年を上げた。これにより、50代の採用が増加。ほかにも、入浴専門、キッチン専門など細かく細分化して役割ごとに給与を設定するなどしている。これらのさまざまな人事施策を組み合わせ、離職率は昨年度に比べて約3%下がった。

 

 

「介護」を守るIoTツール

──IoT活用について。
福原 IoTの活用はあくまでスタッフの「介護以外」の業務効率を上げるためのツールとして導入。自ら現場に足を運び、話を聞いて思うのは「スタッフは介護がやりたい」ということ。ノーリフティングなどの取り組みは行うが、人と人との接点である介護の部分は守りたい。そのための書類のシステム化といったIoTの活用が、現段階では正しいと判断している。

 

現在は、デイの送迎ルートの作成や記録を行うAIシステムの実験を行っているところ。分単位の記録やルート作成などの業務をシステム化できれば、大幅な業務削減に寄与すると見ている。

 

 

保険外「産業ケアマネ」構想も

──18年度改定ではデイに逆風が吹いた。次期改定を見据えた今後の展望は。
福原 サービス品質と単価を落とさないことが重要と考える。自社専属の管理栄養士監修による昼食や「夕食お持ち帰り弁当」などのサービスを付加価値としてケアマネにアピールし、認知度アップとサービスの差別化に注力する。外部のボランティアと連携した満足度の高いレクリエーションや、当社のセントラルキッチンで作るおいしい食事、充実した入浴設備・技術など、サービスのクオリティをさらに上げていく。

 

一方、保険外サービスの構想は2つあり、1つは昨年7月にサービスを開始したシニア向け施設紹介事業「住まいの架け橋」。必要に応じ施設入居や終活、遺品整理まで、一括できる事業にしていく。もう1つは、日本の介護離職を抑止する「産業ケアマネ」のビジネス。ケアマネを企業に配置し、社員の介護の相談を受けサービスにつなぐ、意義ある概念だと思う。現在、大手企業数社にアプローチ、データ収集している。
今後も、都市型の在宅介護を中心としたサービスを展開していく。介護とエンゼルケアを軸に、高齢者に関わる多様なサービスを拡充させていきたい。

 

 

 

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