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介護業界の人手不足は全国共通の課題だ。
しかし、その理由は、大都市圏では他業界との競争の激化、地方では労働者数自体の減少と、地域による違いが大きい。今回は地方にありながら珍しく人口が増加している和歌山県岩出市を例に挙げ、介護業界の人材不足の状況と、その対応策についてみてみよう。

 

 

年々人口増加も
地元就労少なく

近年の市制施行は町村合併によるものが多いが、岩出市は2006年に岩出町の人口が市になれる条件である5万人を突破したことによる単独市制施行であり、珍しいケースだ。

 

 

19年時点の推計人口は約5万4000人。20年で約7000人増加している。人口増加率は県内自治体では最も高く、全国的にも高い水準だ。

 

 

このように、人口は増加しているのだが、市内の住宅型有料老人ホーム「小春の里」(運営:ソワン)の中亮平施設長は「2年前の開設以来、人手は常にギリギリの状況です。あくまで私の肌感覚ですが、介護スタッフの求人倍率は3倍~4倍程度に感じます」と、人材確保の困難さについて語る。

 

 

こうした背景には同市特有の事情があるという。
同市は和歌山県北端に位置し、大阪府泉南市、阪南市と隣接している。つまり大阪は通勤圏内だ。
実際に同市の人口増加の理由の1つは大阪からの転入によるもの。彼らの多くはマイカーで大阪の職場まで通勤する。介護業界の主戦力である主婦パートも同様で、車が運転できる人は大阪府内まで通うケースが多いという。中施設長が語る。

 

 

「和歌山県の最低賃金は時給830円。それに対し、トンネルひとつ先の大阪府は964円。これでは勝負になりません」

 

人口に比べて
多い小売店舗

その一方で、主婦パートの中には「家の近くで働きたい」と希望する人もいる。彼女らを雇用しようにも、同市内を走る国道24号線沿いは県北部でも有数の商業地域であり、それらの店舗と激しい人材獲得競争にさらされているという。

 

 

同市のように大都市圏の都道府県と隣接する自治体では、最低賃金の差というハンディキャップがある。こうした中で、事業者は「大阪並の賃金を用意するがどうか」という判断が迫られている。

 

業務量削減で処遇改善

小春の里 中亮平施設長

人材確保のために処遇改善を進めています。例えば、2018年4月から退職金共済の対象を、パートを含めた全従業員に拡大しました。1年以上勤務すれば退職金が全額支給されます。またベースアップも毎年行い、長期就労のメリットが出るようにしています。しかし賃金アップによる処遇改善には限界があります。

 

 

最近では、業務量を減らすなど、これまでよりも楽に働ける環境を整え離職者を減らす工夫をしています。例えば、利用者の衣服や持ち物には全て名前を書くよう家族にはお願いしていますが、実際に書いてくる家族は半数程度であり、名前書きがスタッフの仕事になってしまっていました。

 

 

そこで、最近、名前を予め印刷したシールを導入しました。名前を書く作業が減っただけでなく、活字なので名前が読みやすくなり洗濯物の仕分けなどが非常に楽になりました。

 

 

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