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 新型コロナウイルス感染症の対策とBCP策定は、従来の新型インフルエンザ対策やBCPガイドラインに沿って考えると分かりやすい。ここまでの国の施策も、ほぼ新型インフル対策を踏襲している。だが、新型コロナの脅威は、感染を未然に抑えるワクチンも感染後の治療薬も現段階では存在しない点。予防策が咳エチケットや手洗い・消毒などの励行しかないのが現状だ。

 

 

 

 

新型コロナのような未知のウイルス感染症について、国は発生段階を4つに区分している。新型コロナ感染の現状を当てはめると「第3段階(国内で患者の接触歴が疫学調査で追えなくなった事例が生じた状態)」、つまりパンデミック(爆発的感染)の一歩手前に足を踏み入れている。厚生労働省は新型インフルに関するBCP策定を以前から推奨しており、それに基づき一部企業は、在宅勤務やテレワークへの切り替えなどを図っている。

 

 

しかし、介護業界は対人ケアが基本にあり、大半の業務はテレワークや在宅勤務に切り替えるわけにはいかない。さらに、入居施設を中心に社会インフラとしての事業継続が強く求められている。

 

 

その一方、個々の従業員は他の業種の人と同様に、本人発症のケースや家族の看病などで長期間にわたって休業する状況もあり得る。一般的な事業者向けのBCP策定ガイドラインでは「従業員の40%程度が数週間にわたり欠勤することを前提とした人員計画」の立案が望ましいとしているが、人手不足が深刻な介護業界にとっては現実離れした想定と言わざるを得ない。通所施設などの場合、複数の人が集まることから、今後の感染者の発生状況によっては、逆に国や地方自治体から休業などを要請される恐れもある。

 

 

入居者や利用者である高齢者の安全確保を第一にしつつ、職員にも罹患者を出さないこと---感染症の危機管理は自然災害対応に比べてコントロールが難しい要素が多く(表参照)、介護事業者は非常に厳しい状況下に置かれている。「全国が被災地」の様相で、マスクや消毒液に代表される物資不足も深刻だ。

 

 

 

政府は「緊急事態宣言」を可能にする新型インフルエンザ等特別対策措置法の改正案を13日にも成立させる方針だ。緊急事態宣言が出された場合、行政はこれまでの「要請」ではなく、強制力を持つ「命令」を下すことができる。介護業界にとって吉なのか凶なのか、事態の行方は不透明さを増している。

 

 

迅速な情報提供

未知の新型コロナウイルスにどう対応すべきか---。
情報が錯綜していた2月下旬、医療法人社団悠翔会(東京都港区)理事長・診療部長の佐々木淳医師が作成した高齢者施設向けの「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の説明補助資料」が介護業界で話題になった。

 

 

資料は3 段階構成で、施設や職員の理解を深められるよう、簡潔にポイントが要約されており、非常に分かりやすい。2月26日には一般社団法人全国介護付きホーム協会(同)が会報号外として佐々木氏の資料を紹介。高く評価されている。厚労省が1枚ものの「介護施設・事業所向けリーフレット」を発表したのは28日だ。

 

 

 

「当初は国の情報提供が追いついていませんでした。一方、WHO(世界保健機関)や米国CDC(疾病予防管理センター)には中国での事例報告が載っており、また海外の医学雑誌や論文データベースのサイトも研究者に対し、無料で閲覧できるような体制が整っていました。2月20日頃に英文のまま、仲間うちの医師に情報を共有したのですが、日本語で要約したものが欲しいといった要望があって最終的に今の形式にまとめました」(佐々木氏)

 

 

コロナウイルスの感染特性は、高齢者の死亡率が高い点。中国武漢市では14.8%というデータもある。そのため、佐々木氏は高齢者の感染と重症化のリスクを強調。

 

 

施設「安全地帯」に

 

高齢者施設を「安全地帯」にするための原則として、

①持ち込まない
②もらいに行かない
③症状のある職員の出勤停止の徹底

を示し、

 

特に居住スペースは「安全ゾーン」にするため徹底するべきだと強調している。さらに施設内感染を防ぐためには「風邪気味の入所者がいたら、コロナ感染を念頭に置いてすぐに隔離ケアに移すことが理想的です。発症から7日間は新型コロナか否かの見極めは臨床上困難です。この時期にPCR検査を受けても意味がなく、医療機関に出向くことはかえって感染リスクを高めることになりかねません」。

 

 

施設によっては、元気な高齢者が外出や外泊を希望するかもしれないが、「休校措置が講じられた児童生徒と同様、活発に動く人がウイルスを媒介する恐れが高い。施設として利用者への理解を求めて欲しい」とアドバイスする。

 

 

ACP、看取り覚悟も

 

在宅診療医である佐々木氏は、重篤化を想定した本人の医療への希望を確認しておく必要性を指摘する。「要介護高齢者が重症化した場合、どこまでの医療を希望するか、どの段階で緩和ケアに切り替えるかなど、看取りも覚悟してACPなどで本人に意思確認しておくべきです」と述べる。

 

 

新型コロナに関する情報が増え始めた今、高齢者施設に対しては、職員への研修や教育プログラムを求めている。

 

 

「感染症対策一般として、マスクを着用中でも手で口や鼻を直接触れている職員が以外と多い。これでは感染対策にはならず、1人でも防止対策が不十分なら感染リスクが高まる。施設や介護事業者は職員教育を徹底して欲しい」と訴える。

 

 

 

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