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 サ高住132棟・7648室を運営するSOMPOケア(東京都品川区)。その数は学研グループに次ぐ2番手、有料老人ホームの居室数などを含めれば業界1位だ。2015年当時業界トップだったメッセージ時代から高齢者住宅事業を手掛けてきた同社の目には、現在のサ高住の状況はどう映るのか。菊井徹也取締役執行役員に話を聞いた。

SOMPOケア 菊井徹也取締役執行役員CAPO

 

 

 

 

──SOMPOケアのサ高住について

菊井 当社は介護付有料老人ホームなども多数持つが、サ高住だけでみると132棟・7648室、入居率は94%(2月末時点)となっている。入居者は「自立・要支援」「要介護」で50%ずつといったところだ。
積極的に高齢者住宅事業を手掛けていたメッセージを2015年に買収し介護に本格参入した。私はメッセージで高専賃(高齢者専用賃貸住宅)を開発していた時代から、介護事業者として高齢者住宅に関わってきた。

 

 

――高専賃などを一本化してスタートしたサ高住の制度化から約10年。世間のサ高住に対する認識はどうか

菊井 残念ながら、端的に言ってしまえば「能力の低い施設」と捉えられているのではないか。本来、安否確認と生活相談の付いた「住宅」だったはず。住宅に介護や看護、在宅医療を自由に組み合わせて利用するというのが当初の考え方だった。
それが建物にも事業所にも建設補助が付いたことに目を付けたコンサルなどが、30室程度で入居費用を抑え、建築費の返済を介護保険で補填するというモデルを広めてしまった。結果、入居者は介護保険サービスを利用する要介護者のみになり、世間一般からは「施設」と見られるようになった。

 

 

――ケアマネのサ高住に対する認識の変化は

菊井 在宅に慣れているケアマネにとってはサ高住のケアプランはわかりにくい。サ高住ではトイレ介助、ナースコール呼び出しなど短時間の訪問介護が多く発生する。これを介護保険内で提供するのか、自費の生活支援サービスとするのか、(移動時間がかかる)在宅の場合にはこうしたケースは存在しない。運営会社によっても方針が異なる。実際にサ高住のケアプランを組んだことがあるケアマネでなければ理解しにくいのかもしれない。運営会社のケアマネであれば教育もできるが、外部のケアマネはこれを学ぶ機会もほとんどないだろう。例えば、全国に900程度しかない定期巡回のケアプランを作れるケアマネが少ないのと同じだ。経験したり教育を受けたりする機会が少なすぎる。

 

 

――サ高住での看取りを期待する声もある

菊井 先ほども話した通り、サ高住はただの「住宅」だ。「サ高住が」看取りをするのではなく、サ高住の入居者に対してサービスを提供する事業者が協力して看取るということだ。在宅で看取りができているのに、「看取りのできる・できないサ高住」という議論は意味をなさない。
サービス連携については、サ高住の制度ととも介護に参入し、1法人1施設のような運営法人ではなかなか教育が行き届かないのではないか。要のケアマネも教育は国がしてくれるわけではなく、原則として法人でやることになる。

 

 

――団塊世代が入居対象に入ってくる。ニーズはどうのように変化していくか

菊井 本質的には変わらないと考えている。つまり「住まいなんだから最期まで居させてほしい」ということだろう。有料老人ホームの利用権と違い、賃貸住宅であるサ高住は居住権という言葉も用いられる強い権利なので、要介護になったら出ていってくださいとは言えない。自立・要介護に関わらず住まうことができるよう、外部サービスと連携する在宅と一緒でなければならない。
団塊世代の(自由を好むという)世間のイメージに鑑みれば、自由に住まうことができるサ高住はそのニーズに合致していると言えるのではないだろうか。内側から鍵を開けなければ自由に外出できないなら住宅とは言えない。

 

 

――居室内の住宅設備などについてはどう考えているか

菊井 当社のサ高住は風呂・キッチン付き25平米を最低スペックとしている。これは当初のサ高住の基準であった。しかし、緩和が進み、一般的には風呂・キッチンなしの18平米が主流となってしまっ
た。今まで風呂・キッチンがある家で暮らしていたのに、サ高住に入った途端にそれを取り上げてしまうのは違うのではないか。

 

 

――実際はほとんど使われないと聞くが

菊井 そこになければそもそも使うことさえできないわけで、使うか否かは入居者本人が決めることだ。そもそもキッチンもないのに住宅と言えるのか。部屋に来客があった際にちょっとした料理を作ることもあるだろう。
一時的な施設ではなく、最期まで住まう「住宅」であれば最低限の設備はあってしかるべきだ。高齢者だから、認知症だから、風呂・キッチンはいらないという考え方はおかしい。「高齢者だから風呂はいらない」という家族も少なくないが、おそらく自身が障害をもったときに、自由や権利を取り上げられてしまう辛さがわかるのだろう。
デンマークの高齢者福祉三原則にあるように、自己決定や残存能力の活用、生活の継続性を尊重した運営をすべきだと考えている。

 

 

 

事業者が尊重すべき高齢者の自己決定権

 

――現場にはその意識があるか

菊井 介護の仕事をする人は元々高齢者を笑顔にさせたり幸せにしたりしたい人。最初は誰もが「高齢者本人」を向いて介護をしようとする。しかし、実際仕事を始めてみると「運営上これはダメ、あれはダメ」となり、高齢者本人のためから、家族のため法人のための介護へとなっていく。結果、疲れ果てて介護職を辞めてしまうのが現状だ。
事業者が主語をどこに置いてサービスを組み立てるのか、「本人が」なのか「家族が・事業者が」なのかにより、その運営は大きく変わってくる。

 

 

――囲い込みなど一部悪質な運営会社もいる。このあたりはどうすべきか

菊井 過剰サービスの問題は、サ高住・住宅型有料老人ホームなどの併設事業所をそれぞれしっかりと監督すべきだろう。一部事業者の悪事が全体のイメージを下げるのはよろしくない。
その意味では、3月10日の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議で、集合住宅関連事業所への実地指導回数が多い自治体については経費補助が上乗せされるという通達があったが、正しい流れだ。

 

 

 

――今後のSOMPOケアの展開は

菊井 これまでは開設を抑えていたが、(有老など含め)サ高住の新規開設も積極的に検討する段階に入った。M&Aも選択肢の一つとして考えている。今も多くの案件が持ち込まれているが、規模の小さいものがほとんどで当社として手を付けられるものはない。
エリアとしては当然高齢者が増える都市部がメインになる。サ高住や有老の展開だけではなく、都市部で圧倒的に不足する在宅サービスにも引き続き力を入れ、社会課題解決の一助を任いたい。

 

 

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