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---【連載第156回】具体例で学ぶ介護施設の事故防止策 ---

対応を決定後、家族に周知

 今月も施設の新型コロナウイルス感染症対策を考えます。実際に施設では利用者に感染者が現れていますから、施設で感染者が出た際の想定が必要です。想定は大きく2つのケースに分かれます。「いきなり利用者の感染が判明する場合」と、「職員の感染が判明した後に職員から利用者への感染が判明する場合」です。前者はすぐに保健所の指示に従って対応すれば問題ありませんが、その場合、職員の感染が先に判明した場合は施設の対応が問われます。懸念されるのは家族の反応ですから、事前に家族に対応方法を通知し混乱を防がなければなりません。

 

 

■職員が発熱で休みたいと言ってきた。
ある日職員が「熱が出たので勤務を休みたい」と言ってきたとします。施設長はこの職員の申し出に対し、どのように対応するべきでしょうか?
まずはかかりつけ医に相談し、保健所への検査を申請してもらいます。「介護施設の職員なのでもし感染していたら、多く利用者に感染させて重症患者を出すことになるかもしれません。優先して検査を実施して欲しい」と医師を通じ保健所に要請するのです。医師が保健所に依頼しても「検査の必要はない」と判断されれば仕方ありませんが、優先して検査してもらって早期に感染が判明すれば、「利用者が重症化して死亡者が出る」という最悪の事態を防ぐことができます。

 

 

■職員の感染が判明した時の対応。
発熱があった職員が保健所の検査を受け、陽性と判明したとします。家族対応の前に利用者の検査を実施して、集団感染の拡大を防がなくてはなりません。どのような対応を決めておいたら良いでしょうか?

概ね次のような流れになります。

 

①感染した職員と接触のあった利用者に検温を実施し、発熱している利用者の検査を優先して保健所に要請。次に発熱が確認されなかった利用者の検査も保健所に要請する。

②感染が判明した職員以外の職員に検温を実施、発熱があればその職員の検査及び職員と接触のある利用者の検査を保健所に要請する。

 

③ほかの職員や利用者への感染が判明した場合、直ちに入院し治療を開始する。感染者が判明した場合の対応については、全て保健所の指示に従う。

■家族への対応も決めて通知する。
職員の感染が判明すれば、家族へ通知する必要があります。家族が職員の感染を知れば施設に押しかけて来て、検査の実施を迫るかもしれません。いきなり家族が押しかけてくれば、家族への感染につながる恐れも出てきます。混乱がないようにあらかじめ適切な対応手順を決めて、家族に知らせておく必要があります。次の文章は前述の職員の感染が判明した時の対応と共に、家族への対応を家族に通知した文章ですので参考にして下さい。

 

 

◇◇◇

 

 

■家族への対応。
①職員に感染者が発生したことを、直ちに電話もしくはメールで全てのご家族に連絡します。
②全ての利用者に検温を実施し、検温の結果をお知らせします。
③発熱があった利用者のご家族には、保健所の検査などその後の対応についてご相談させていただきます。
※利用者の検査の結果、感染が判明した場合については、全て保健所の指示に従って対応させていただきます。

 

 

■家族の面会に関するお願い。
上記の施設からの連絡に対して、利用者を心配されて家族が面会に来られると、ご家族自身に感染のリスクが発生します。施設としてはご家族の面会希望をお断りすることはできませんので、ご自身の感染の防止に十分ご留意のうえご面会いただきますようお願い申し上げます。

 

 

■家族のメールアドレス登録のお願い。
職員に感染者が発生した後は、ご家族には頻繁に連絡することとなりますが、迅速かつ円滑に連絡ができるようあらかじめご家族の携帯やパソコンのメールアドレスを登録いただきたくお願い申し上げます。

 

 

 

安全な介護 山田滋代表
早稲田大学法学部卒業と同時に現あいおいニッセイ同和損害保険株式会社入社。2000年4月より介護・福祉施設の経営企画・リスクマネジメント企画立案に携わる。2006年7月より現株式会社インターリスク総研、2013年4月よりあいおいニッセイ同和損保、同年5月退社。「現場主義・実践本意」山田滋の安全な介護セミナー「事例から学ぶ管理者の事故対応」「事例から学ぶ原因分析と再発防止策」などセミナー講師承ります。

 

 

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