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第84回 介護施設での医療とケアの課題

 

この連載では、内閣府の規制改革推進会議医療介護ワーキンググループ(座長=大石佳能子・メデイヴァ社長、以下WG)で取り扱われたテーマを報告している。同WGには著者も専門委員として出席している。

 

 

3月の同WGのテーマは、「介護職員等によるケアの円滑な実施に向けた取組」だった。特に介護施設における医療的ケアの実態についてヒアリングが行われ、在宅医療を行っている医療法人社団悠翔会理事長・診療部長の佐々木淳先生からお話を伺った。佐々木先生によると、介護施設では、①点滴、②吸引、③在宅酸素療法、④経管栄養、⑤インスリン、オピオイドの管理、以上の医療的ケアができないという。

 

 

たとえば①の点滴は、「介護施設内では点滴は原則禁止、やってもいいが訪問診療で対応すること」「点滴のボトル交換、ライン交換、点滴の見守りは協力するがすべて日勤帯で完結すること」。

 

②の吸引は、「夜は看護師不在により夜間吸引は対応できない」「夜間の吸引が必要なら訪問看護・訪問診療で対応せよ」。

 

③在宅酸素療法は、「夜は看護師不在により在宅酸素療法は受け入れられない」「夜間チューブ外れなどが生じても本人以外は対応できない」「夜間ボンベと酸素濃縮器の付け替えはできない」「夜間のチューブ外れ等の対応は往診で対応せよ」とのことだ。

 

④経管栄養は、「夜間は看護師が不在なので、経管栄養は日中にすべて完了すること」「経管チューブからの投薬はできない」「自己抜去した際の暫定対応ができない」

 

⑤インスリンやオピオイドについては「投与量の設定から注射まで自己管理が原則」「看護師不在の時間帯はインスリン注射、オピオイドにはタッチできない」など。

 

 

結局、こうした介護施設における医療的ケアの制限により、介護施設での医療的ケアはすべてを訪問診療・看護で対応するか、入院するかの選択肢しかない。

 

 

 

解決策は何だろう?
介護施設における看護職員の夜間配置を増やす、2011年の介護保険法の一部改正で認めた介護福祉士や介護職員のたんの吸引などの医療的ケアの範囲をさらに増やすことだろうか?

 

 

一方、海外をみれば介護福祉士が医療的ケアを行う例は多い。たとえばドイツでは老人介護士(Altenpfleger:アルテンフレイガー)は、日本と同様に介護福祉の国家資格である。しかし介護福祉士としての業務のほかに、看護師と同様、注射、点滴カテーテル及び胃管の装着、浣腸、薬の服用なども実施できる。今の日本では3年制のドイツの老人介護士の新規養成は無理としても、介護福祉士の教育に医療的ケアのカリキュラムを組み込んではどうだろうか?

 

 

 

国際医療福祉大学大学院教授 武藤正樹氏

1974年新潟大学医学部卒業、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中86~88年までニューヨーク州立大学家庭医療学科に留学。94年国立医療・病院管理研究所医療政策部長。95年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉大学大学院教授、国際医療福祉総合研究所長。政府委員等 医療計画見直し等検討会座長(厚労省)、介護サービス質の評価のあり方に係わる検討委員会委員長(厚労省)、「どこでもMY病院」レセプト活用分科会座長(内閣府)、中医協調査専門組織・入院医療等の調査・評価分科会座長

 

 

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