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5月26日の朝日新聞が「日本は抑え込みに成功したのか」、5月31日の東京新聞が「日本の『成功』謎だらけ」、6月4日の読売新聞が「アジア 少ない死者」、6月10日の毎日新聞が「日本 死者数なぜ少ない」。いずれも新型コロナウイルスによる死者数が欧米より少ない「謎」を追った。

 

 

 

山中伸弥京都大教授は、日本の要因を「ファクターX」と名付けた。だが、注意すべきは、日本だけが欧米より桁違いに少ないのではない。人口当たりの死者数はアジアでは多い方である。「日本モデルの力」「日本の民度が高いから」という総理や副総理の浮かれた発言をメディアがそのまま報じるのは疑問だ。

 

 

 

国別の感染者と死者数を毎日発信しているのは米国のジョンズ・ホプキンス大学。朝日新聞は感染者の多い順に20ヵ国、日本経済新聞は同様に30ヵ国などを表にして転載。しかし感染者の少ないアジア諸国は載らない。アジア諸国を含め33ヵ国の死者数を連日報じているのは読売新聞だけだ。コロナ対策のスタートは、欧米に比べ東アジア諸国の死者がなぜ少ないのかの解明にある、基本データは必須のはず。

 

 

 

死者数の正確な把握に「超過死亡」が有効と報じたのは、5月26日の朝日新聞と日経新聞。毎日新聞では5月24日に米山光啓医師が連載コラムで指摘している。把握漏れの死者を確認できるが、公表が遅いので規模が判明するのに手間取るようだ。

 

 

 

5月22日の日経新聞は「通院件数、コロナ禍で激減」「医療資源、最適配分に一石」「不要不急が問う医療」と、編集委員が医療界の痛点を刺激した。セルフメディケーションの芽生えを指摘。軽い症状でも医療機関に頼る日本人気質の転換を促す。論議を呼び起こすいい提言である。

 

 

 

読売新聞の「ACP(人生会議)を考える」連載第2弾が5月25日から3回あった。最終回でコロナ禍に触れ、日医総研の研究者が「各国で、患者が急変する状況でもACPが不可欠という認識が広がった」という指摘は時宜を得ている。

 

 

 

「自分らしい死」を目標に掲げる「やまと診療所」を5月25日から取り上げたのは朝日新聞夕刊のシリーズ「現場へ」。独自に編み出した画期的な職種、医療助手(PA)の仕事ぶりを丁寧に追いかけ、訪問診療の新しい地平をのぞかせる。新設の病院名は「おうちにかえろう病院」。居丈高な旧来の医療者とは別世界の利用者に寄り添う発想。エールを送る記事だ。

 

 

 

浅川 澄一 氏
ジャーナリスト 元日本経済新聞編集委員

1971年、慶応義塾大学経済学部卒業後に、日本経済新聞社に入社。流通企業、サービス産業、ファッションビジネスなどを担当。1987年11月に「日経トレンディ」を創刊、初代編集長。1998年から編集委員。主な著書に「あなたが始めるケア付き住宅―新制度を活用したニュー介護ビジネス」(雲母書房)、「これこそ欲しい介護サービス」(日本経済新聞社)などがある。

 

 

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