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高血圧は心血管病の最大の危険因子で、これに起因する死亡者数は年間約10万人と推定されています。こうした背景の下、高血圧で悩む高齢者を対象にした「減塩食」が花盛りです。

しかし、そもそもこうした減塩食が本当に高齢者の高血圧対策になっているのかは疑問です。

 

 

高血圧症の90%以上は、明確な原因が特定できない「本態性高血圧症」と呼ばれるものです。これは塩分だけでなく、多くの因子が絡み合って発症する「多因子疾患」と考えられています。

 

 

 

この症状の人は「食塩感受性」と「食塩非感受性」の二つのグループに分けられます。食塩感受性の人は食塩の摂取で血圧が上昇しやすく、減塩で速やかに血圧が下がります。

 

一方、食塩非感受性の人は食塩を多く取っても血圧上昇は軽度です。ということは、減塩してもほとんど反応しないのです。

 

 

 

近年の研究で、この食塩感受性は特定の遺伝子で規定されることがわかってきました。実は食塩感受性の遺伝子を持つ人は日本人全体の2割程度と言われています。ということは、減塩食を食べても高血圧症の改善が期待できない人がかなり多いことになります。

 

 

東北大学の山本雅之教授によれば、採血による遺伝子診断で食塩感受性の有無は容易に鑑別され、個々の症例に応じた、より的確な治療・予防が近いうちに可能になるとのことです。

 

例えば、ある人が食塩感受性遺伝子を持つことがわかれば、1日5グラム以下といった食塩摂取制限により高血圧の発症を予防できます。

 

 

一方、この遺伝子を持たないことがわかれば、たとえ高血圧症でも、食塩制限はあまり必要ではないと判断されます。そうなれば、冒頭の減塩食を食べる必然性はなくなります。

 

もちろん、この場合、減塩食以外の別の高血圧症対策が必要です。言いたいことは、高血圧症だからと一律に減塩食を強制的に食べさせられている高齢者が、最新の科学的なエビデンスに基づけば、食べたいものを食べられる自由度が上がることです。

 

 

村田アソシエイツ代表 東北大学特任教授 村田裕之氏

 

 

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