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ミス発見できる仕組みを

 私たちは、7月をデイサービスの「送迎車降ろし忘れ事故防止月間」として、毎年チェック体制を点検しています。2017年7月13日、埼玉県のある知的障害者施設で、送迎車で迎えに行った男性利用者を、施設到着後に降ろし忘れて熱中症で死亡させる事故が起きました。10年7月24日にも、千葉県のデイで同様の事故が起きていますし、07年7月27日には、北九州市の保育園で園外活動から戻った2歳の園児を送迎車に置き去りにし、死亡させる事故が起きています。これら3件の事故では、いずれも降ろし忘れた職員のミスが問題とされましたが、ミスをしたときに、そのまま他人の生命の危険につながるのは、事故防止の仕組みに問題があるからです。今回はその対策を考えます。

 

 

 

■ヒューマンエラーの防止対策

人のミス(ヒューマンエラー)による事故の防止対策を考えるとき、ミス=事故と考える人が多いのですが、もう少し細分化して考えると対策しやすくなります。つまり、人のミスが原因で事故が起こり、その結果として損害が発生すると考えるのです。こうして「ミス」「事故」「損害」の3つに区分すると、「ミスを防止する対策」「ミスが事故につながらないようにする対策」「事故が起きても損害を防止(軽減)する対策」の3つに分類できます。

 

 

 

1つ目の対策は、人がミスをしやすくなる環境の改善や、ミスをしないように声かけを行うなどのミスを未然に防ぐ対策です。2つ目は、一般的にはミスを発見するチェックの仕組み作りです。3つ目は、事故が起きた場合を想定し、そのときの対応を定めておくことです。

 

 

 

例えば、誤薬の防止対策では、この3つの対策を組み合わせてマニュアルにしています。薬や人の取り違えミスが起きないような対策と、取り違えミスをチェックする対策を講じて、最後に誤薬が起きたとき、迅速に受診して被害を防ぐ対策を講じています。
さて、3つの仕組みを応用すると、降ろし忘れ対策はどのようになるのでしょうか?

 

 

 

■ミスを防ぐ対策
まず、ミスを防ぐ対策を講じなければなりません。送迎車の運転席には「指差確認☟降車時の後部座席再点検」という黄色いステッカーを貼り、最後に降車する人の確認を怠らないようにしています。また、ドライバーは利用者の降車後に送迎車を動かすとき、後部座席に乗り込み、誰か降ろし忘れていないか確認することになっています。

 

 

 

次に、送迎業務を終了して駐車場に送迎車を停めに行くときに、ドライバーはデイの事務員に「車内点検を行いましたので、送迎業務を終了します」と声掛けをしなければなりません。このように、複数の職員が声を掛け合ってチェックをすることでミスを起こさないような仕組みを作っています。

 

 

 

■ミスが事故につながらない仕組み
重要なのは2番目の「ミスが事故につながらない仕組み」です。ミスをしても、事故につながる瀬戸際でミスを発見すれば良いのです。
では、降車確認作業を怠って、運悪く利用者を送迎車に置き去りにしてしまったとき、どのようにミスを発見すれば良いのでしょうか?
実は降ろし忘れ事故には大きな盲点があるのです。それは「最後列シートが見えない」ということです。3つの事故の共通点は、3人の被害者がいずれも最後列シートに横たわっていたことです。シートに横たわると、ルームミラーで後ろを見ても、姿は全く見えません。完全な死角となっているのです。

 

 

 

そこで、私たちは車内にミラーを付け、死角をなくす方法を考えました。実際に見てみれば一目瞭然でした。人は注意していなくても「目に入る」ことで気付くことがたくさんあります。駐車場に車を駐車しに行こうとしてエンジンをかけたとき、後部座席に人が横たわっているのが目に入ったら、誰でもギョッとして人が取り残されていることに気づきますよね。ミスを見える化するのは大切な対策なのです。

 

 

 

 

安全な介護 山田滋代表
早稲田大学法学部卒業と同時に現あいおいニッセイ同和損害保険株式会社入社。2000年4月より介護・福祉施設の経営企画・リスクマネジメント企画立案に携わる。2006年7月より現株式会社インターリスク総研、2013年4月よりあいおいニッセイ同和損保、同年5月退社。「現場主義・実践本意」山田滋の安全な介護セミナー「事例から学ぶ管理者の事故対応」「事例から学ぶ原因分析と再発防止策」などセミナー講師承ります。

 

 

 

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