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2021年介護報酬改定  結城康博 淑徳大学教授に聞く

 

 新型コロナ禍が続く中、2021年介護報酬改定の大詰めの議論が始まった。厳しい経営状況が続く介護事業者が多い中、一番の焦点になるのは改定率だ。前回の18年改定はプラス0.54%、今回の改定をどのように捉えるべきか。淑徳大学総合福祉学部の結城康博教授に話を聞いた。

 

淑徳大学総合福祉学部 結城康博教授

 

 

 

──介護報酬改定の具体的議論がいよいよ始まります。

結城 新型コロナ感染症の拡大で、21年の介護報酬改定は非常に重要なものになった。特に人手不足が新型コロナを機にさらに加速している。医療現場と同様に感染の恐れが高く、そのため離職する人もいる。衛生用品などの経費高騰や利用控えの影響もあるが、人手不足の深刻化に注目すべきだ。「離職防止」を超えて人手確保に乗り出せるよう、今回の改定では3%から5%のプラス改定率を介護業界は求めるべきだと考える。

 

 

──非常に大胆な数字ですね。

結城 近時の改定率に比べると大きな数字に見えがちだが、リーマンショック直後の09年度改定はプラス3%だった。それと同等以上のプラス改定を、この非常事態ゆえに介護業界としてしっかりと求めていくべきだ。プラス3%で約3000億円、同5%で約5000億円として、新型コロナ対策の一環で実施されている介護職員への慰労金を含む緊急包括支援交付金(介護分)の事業費4132億円と比べれば、決して非現実的な金額ではないと思う。

 

 

──具体的にはどのような配分が望ましいでしょうか。

結城 私は介護保険の主役はヘルパーだと思っているので、是非とも手厚い報酬アップを望みたい。ヘルパー業界は新型コロナ蔓延以前から、人材不足や高年齢化、そして7割が非常勤職員という形態が問題になっている。今回、最も大きなダメージを受けている業種ではないか。

 

 

サービス受給者側からみても、新規に受けてくれるヘルパーが相当減っており影響は大きい。ヘルパー不足がこのまま進めば、在宅介護や訪問介護、さらにサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなどの業種にも影響が及ぶ。国が掲げる地域包括ケアシステムもヘルパー抜きでは成り立たず、ここから介護崩壊が起きてもおかしくない。

 

 

 

「前回並みは惨敗」意識で

 

──なるほど。21年改定は介護業界の将来を左右しかねない大事なものですね。

結城 もっとも緊急包括支援対策は「もろ刃の剣」で、これらの財政支出を理由に、改定率のプラスを抑制することも考えられる。それでは意味がない。もう1つ重要な点は、プラス改定が現場の処遇改善や人手確保に直結するようなシンプルな制度設計だ。従来、改定のつどに加算・加算……となるのは政策的に仕方がないが、制度の複雑化によるシャドウコストの膨大化や事務負担増など弊害が多い。

 

 

この機に人件費部分への効率的配分を図る仕組みにすべきだ。24年改定の時期は、おそらく新型コロナ禍も収束して、60兆円の国債や税収減を取り戻すべく国全体が緊縮財政になるだろう。その中で介護報酬を始め社会保障費も削減の恐れがある。それを見据えて「1%や前回並みのプラスでは〝惨敗〟」ぐらいの気持ちで、介護業界が声を上げるときではないか。

 

淑徳大学 総合福祉学部
結城康博教授

 

 

 

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