訪問診療に同行/医師をサポート

 

愛知県を地盤に首都圏で、保険診療から先進医療、在宅医療まで手掛ける医療法人笑顔会(愛知県名古屋市)。塚田千春氏は笑顔会に4年前に身を投じた。スマイルコンシェルジュという同法人独自のポジションで、介護現場で培った介護福祉士としてのスキルを在宅医療の仕事に活かしている。塚田氏の介護から医療への転身の軌跡を追った。

 

医療法人笑顔会 塚田千春氏

 

 

塚田氏は専門学校卒業後、歯科医院で事務として勤務。数年働いたが、15年ほど前にヘルパー2級の資格を取得。老人病院と福祉施設を運営している医療法人グループに入職した。
ヘルパーを取得したのは「姉が看護師だったから。幼少期に祖父母や周りのお年寄りにかわいがられたことも、介護の仕事を選んだきっかけ」だという。

 

配属されたのは名古屋市天白区にある老人保健施設(90床)。3年後に介護福祉士を取得。身体介助、入浴介助、食事介助からケアマネジャーとのサービス計画作りと順調にキャリアを積んでいたが、夜勤が多く、体調を壊してしまう。6年半勤務したが、休暇も取りにくかったため、仕事の継続を断念した。

 

 

その後、知り合いの伝手で保険会社に入社。4年ほど勤めたが、その間、笑顔会の現事務長である福元博樹氏と知り合い、誘いを受けた。

 

 

「体力的な不安はあったが、医療の現場で働いてみたいという気持ちが強く、2016年に入職を決めた」。
職場は「笑顔のおうちクリニック名古屋」。在宅医療を主体に地域医療に取り組むクリニックだ。「スマイルコンシェルジュ」という肩書で在宅医療の医師をサポートする。

 

 

車の運転からカルテ入力、多職種連携までこなす

 

スマイルコンシェルジュは、医師でも看護師でもない。患者と同じ目線で、医師とは違う立場から不安や悩みの解決をサポートする医療の現場を理解した専門スタッフだ。アメリカの病院には患者と医師との間を取り持ち、患者が希望に沿う治療が受けられるようサポートするスタッフ(アドボケーター)がいるが、その考え方を取り入れた。

 

現場でもパソコンを駆使し情報共有を図る

 

「医療介護の現場を介護老人保健施設でしか見ていなかったため、入職前は在宅でどんな医療が受けられるのかどんな介護が受けられるのかということは具体的には想像がつかなかった。特に重症な方に関しては在宅での療養は困難だろうとさえ感じていた」。

 

しかしその考えも働き始めることで一変する。
同法人のスマイルコンシェルジュは、月に15時間以上の研修を受けており、医療についての知識も豊富。費用や各種書類の手続きの相談、薬の飲み方、近隣施設の案内など、24時間体制で患者の不安や悩みに応える。

 

医療者とは異なる視点で患者・家族を支える

 

 

 

塚田氏は1週間に3日から5日、訪問診療に同行。施設入居者、在宅高齢者含めて1日10〜25人ほどの患者の診療をサポートする。同クリニックの在宅患者は約230人(在宅高齢者が80人、残りが施設入居者)。現在4名のスマイルコンシェルジュが在籍しており、在宅患者の約半数くらいを塚田氏がサポートしている。

 

 

具体的な仕事内容は車の運転から診療のサポート、カルテ入力、ケアマネジャー・薬局薬剤師・訪問看護ステーションなど連携機関とのやり取りまで様々。書類の管理・整理、電話対応、法人内SNSでの情報共有、さらには患者のスケジュール管理、新規の患者調整、医療物品の管理(点滴、バルーン、気管切開、チューブなど)まで多岐にわたる。

 

 

「様々な疾患を持っていても病院ではなく住み慣れた場所でその人らしく過ごすことができるということがわかった。家族やペット、自分が大切にしているものに囲まれて過ごすことで精神面も安定し穏やかに過ごすことができる。また、食事に関しても好みのものを摂りやすい環境にあるため食欲に良い影響を与えると思う」。

 

 

笑顔のおうちクリニック名古屋は常勤医師が2名、非常勤医師が数名の体制。医師の仕事をできる限り軽減し、スマイルコンシェルジュが、医師が診療に専念できるよう全面的にサポートしている。

 

 

今年の6月から院内に「地域笑顔連携室」を開設。病院の地域医療連携室のイメージで、多職種連携の充実を図り、地域とのつながりをさらに深めていくのが狙いだ。

 

同法人では毎朝7時半から職員参加の朝大学(勉強会)を30分実施。オンラインでも参加可能で、水野伸一理事長や福元事務長らが、新入職者のための仕事のイロハから最新情報の共有までレクチャーする。また法人内や職員同士間の問題改善の場にも役立てている。

 

「在宅医療の利点は、患者さんの叶えたい夢を実現しやすい環境にあるというところ。家族の負担は大きくなるが、今は保険制度が充実しているため、様々なサービスを受けることができる。介護者の負担を減らしながら、できるだけ多くの方に在宅で有意義な時間を過ごしていただきたい」。

 

 

「健康経営優良法人」認定

 

同法人は健康経営優良法人制度にも積極的に取り組んでいる。同制度は地域の健康課題に即した取組をもとに、優良な健康経営を実践している法人を評価する制度。笑顔会は2018年度から毎年健康経営優良法人に選定されており、エリアで「優良事業所」として銀賞も受賞した。

 

 

 

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