他社比 半額で人気に
終活や葬送サービスなどについて生活者と事業者をつなぐ仲介業を営む終楽(愛知県春日井市)は、3月以降、新型コロナ対策サービスを相次ぎ投入。その中でも僧侶読経配信「スマ坊さん」と「永代供養墓」が好調だ。伊藤俊吾社長に話を聞いた。

終楽 伊藤俊吾社長
―――「スマ坊さん」は3月にサービス開始して以来、100件の受注があったそうだが、
どのようなサービスか。
伊藤 故人の俗名・戒名を聞いたうえで、希望のお経を、弊社と提携しているお坊さんに読んでもらい、作成した音声データを法要時に流すサービスである。申込者専用のURLにアクセスすると、読経が流れる仕組みで、URLを共有すれば、複数の人が離れた場所からでも故人を偲ぶことができる。コロナ禍において、三密を避けるために開発したサービスだが、ネットでどこでも聴けるというニーズがかなりあるのだなと感じている。
例えば、海外に住んでいる人から「一緒に聴くことができてとてもうれしかった」という声も頂いている。当初は音声のみの静止画像だけだったが、希望があったことから動画版もリリースした。徐々に増え、現在3割位になっている。
―――「スマ坊さん」が好調な要因は。
伊藤 最も魅力的なのは価格だ。静止画は2万円、動画は2万7000円だが、同業他社に比べると半額以下だ。2点目は、他社はリアルタイムで視聴する形式が多いが、当社は3日間、自由に視聴できること。もう1つは、好みのお坊さんの声色を選べることだろう。
―――今後の展開は。
伊藤 早割特割(通常2万円のところ、1万3000円)に力を入れていく。また、寺院ごとの施餓鬼法要や盂蘭盆会などの合同法要を、「スマ坊さん」を使って一般の人たちも参加できるようにし、仏教に対する一般の人の敷居を下げていきたいと考えている。
―――好調のもう1つである永代供養墓というのは。
伊藤 コロナ禍になって売上が増えたカテゴリーの1つは荼毘葬(直葬)と永代供養墓だった。そこで、この2つをセットにした「荼毘葬即永代供養墓」を11万8000円で発売した。ところが、セットよりも永代供養墓だけの注文が圧倒的に多い。つまり、他所で火葬した遺骨や、いままで自宅に安置していた遺骨を、当社で永代供養墓にして欲しいという人が増えている。コロナ禍を契機に永代供養墓の需要に火がついた感じだ。
―――価格と売れ筋は。
伊藤 価格は、提携している寺院によって異なる。合祀・合同墓タイプの永代供養墓は、遺骨をお寺に郵送する送骨が2万〜5万円、寺院への持ち込みは4万〜7万円ぐらいだ。売れ筋は、送骨の2〜3万円となっている。
―――永代供養墓の注文が多い要因は。
伊藤 一番の要因は、提携寺院が150ヵ所と多いことだ。当社は「四方よし」との理念により、取行先とも良好な関係を築いている。