全容把握、透明性担保目指す
高齢者住まい事業者団体連合会(東京都中央区)は1日、「高齢者向け住まい紹介事業者届出公表制度」に届け出た紹介事業者一覧の公表を開始した。10月1日現在、160社が届け出ている。
同制度は、6月に創設されたもの。紹介事業者の行動指針を「入居検討者の心身の状況や希望に沿って、ふさわしい住まいや暮らし方を公正・誠実に提案し、ベストマッチの実現を目指すこと」とし、届出項目には相談員の人数や取引ホーム数、紹介可能エリア、成約実績などの詳細を求めている。
近年、都市部を中心に高齢者向け施設が増加する中、入居相談・情報提供を行う施設紹介事業が拡大。紹介事業者は、行政への登録や資格などがなくその数や実態が不透明で、事業開始に多額の投資も必要ないため、専門知識を持たずに安易に開業するケースも相次いでいる。
紹介事業を手掛けながら本制度に未登録の事業者に話を聞くと、「制度が始まったことは知っているが様子を見ている」「現状では登録するメリットが感じられない」といった声もある。異業種からの参入が多いだけに、制度の意義をより一層周知させる必要がありそうだ。
高住連では、紹介事業者のさらなる質の向上、透明性を確保していきたい考えで、「紹介事業者を選ぶ上で、この制度に届け出ているということを選定基準の1つにしてもらいたい」と語る。施設運営事業者、ケアマネジャーなどが、透明性を持つ届出事業者を優先的に利用するような制度の活用が望ましい。引き続き、すべての紹介事業者が届け出るよう促すことで全容を把握するとともに、事業の健全な発展を目指していく。

市原俊男 代表幹事