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特集 次亜塩素酸水

新型コロナウイルス発生以降、次亜塩素酸水の有効性に関する意見が錯綜している。ウイルスに対して次亜塩素酸水が有効かどうか。NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構・東京都渋谷区)が5月末に「現時点での有効性は確認されていない」と発表したため、各メディアが「次亜塩素酸水は新型コロナに効かない」という誤った情報を発信する事態となった。こうした状況を踏まえ、改めて次亜塩素酸水の安全性・有効性について、国立大学法人東京工業大学(東京都目黒区)科学技術創成研究院先導原子力研究所の奈良林直特任教授に話を聞いた。

 

奈良林直 特任教授
専門は原子炉工学。東京工業大理工学研究科原子核工学修士課程修了。

東芝に入社し原子力技術研究所主査に就任。

また同社電力・産業システム技術開発センター主幹などを務め、2007年に北海道大大学院教授に就任。

同大大学院名誉教授・特任教授の後、東京工業大特任教授に就任。

内閣府原子力安全委員会専門委員。

 

 

―――そもそも次亜塩素酸水とは。

奈良林 次亜塩素酸を含む水のこと。次亜塩素酸とは「塩素消毒」の活性因子で、濃度を適切に管理すれば、ウイルスや細菌などに殺菌効果を示す。

 

 

 

―――次亜塩素酸水を巡る世の中の経緯とは。

奈良林 NITEは5月29日の中間発表において「『次亜塩素酸水』の新型コロナウイルスへの有効性は認められていない」とした。6月26日にようやく、次亜塩素酸水の有効性を認めたが、空間噴霧について科学的根拠に基づかない否定的記載を示した。

次亜塩素酸水を扱うメーカーや研究者は、有効性や安全性、正しい使い方を広めるため、6月11日に記者会見「次亜塩素酸水溶液普及促進会議」を開いた。この時点で、三重大学大学院の福﨑智司教授は次亜塩素酸水の空間噴霧が新型コロナに有効であると報告している。6月29日には同会議の一般社団法人化に際して設立総会を開き、これからの感染症対策に次亜塩素酸水を効果的に活用していく方針を明示した。

 

 

WHOのテドロス・アダノム世界保健機関局長は「いかなる薬剤も噴霧してはならない」と発表していたが、WHOの文献には次亜塩素酸水の記載は一切ない。次亜塩素酸水が無毒だという最新知見が反映されていないため、こうした発言があったと考えられる。

 

 

 

空間噴霧にも効果

 

―――次亜塩素酸水の有効性についての見解は。

奈良林 同会議のH P には、次亜塩素酸水の空間噴霧の安全性や各ウイルス不活性化を示すエビデンスが200以上紹介されている。北海道大学の玉城英彦名誉教授が行った「次亜塩素酸水の新型コロナウイルスに対する不活化に関する実証実験」の報告によると、「手洗いに有効な資材としても推奨できる」としている。

新型コロナだけでなく、全ての細菌・ウイルスに対して殺菌力を持ち、唯一空間噴霧可能な薬剤が次亜塩素酸水である。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の文献では次亜塩素酸水に関して「生物組織に対して無毒」となっている。また、EPA(アメリカ合衆国環境保護庁)が発出したCOVID-19に対して使用できる消毒製品リストの中に、次亜塩素酸水が明記されている。

中国は、新型コロナが流行するかなり以前から、次亜塩素酸水を傷口治療や空間噴霧などで積極的に使用していることから、すでにアメリカ・中国などでは感染症対策に次亜塩素酸水が存分に活用されている背景が見て取れる。

 

 

 

―――次亜塩素酸水の使い方は。

奈良林 用途に応じた使い分けが必要だ。
次亜塩素酸水などの液体の微量な濃度を現すときは「ppm」「ppb」といった割合を使用する。ppmとは百万分率で、%と同じように使い、1ppm=1㎎=0・0001%となる。ppbはppmよりさらに1000倍低い値だ。

例えば、塩素濃度50ppmの次亜塩素酸水は、水1リットルに対して50㎎の次亜塩素酸が含まれている、という意味になる。

スマートフォン画面やテーブルの上などの固体表面を殺菌する際は約25ppm、空間噴霧する際は約50ppmの濃度を使用するのがよい。50ppmの次亜塩素酸水を噴霧した場合、空気中の次亜塩素酸水濃度は最も高い濃度でも約20ppbのため、人体に無害である。嘔吐、痰など有機物が含まれているものを殺菌するには100〜500ppmなど高濃度で使用することが望ましい。

 

 

 

―――アルコールと比較した場合は。

奈良林 アルコールは濃度が70%以上でないと効果が認められていないとされている。「%」を「ppm」に換算すると「70万ppm」となる。次亜塩素酸水と比較するとかなり高濃度であり、
▽手が荒れやすい
▽管理を誤ると火災の危険がある
▽アルコールアレルギーの人には使用不可
――など安全性に問題点がある。

 

NITEは70万ppmのアルコールと70ppmの次亜塩素酸水を同じ条件で試験しており、次亜塩素酸水にとって非常に不利な条件で試験がなされていたのだ。すでに、濃度に1万倍もの差がついているが、それでも濃度の薄い次亜塩素酸水はちゃんとウイルスを殺菌する効果がある。

 

 

 

―――奈良林教授が開発した大量空間噴霧の装置とは。

奈良林 「混合ノズル及び混合ノズルを用いる汚染気体浄化装置」は、原子力発電所の安全対策設備「フィルタベント」の原理を利用して作成し、8月13日に特許を取得した。フィルタベント内にある水を次亜塩素酸水に変更すると、空気に含まれたウイルスを100%不活化し、清浄空気を供給することができる。介護施設・病院・商業施設など人が集まる場所の感染防止が目的だ。

 

フィルタベントの原理を利用した混合ノズル及び混合ノズルを用いる汚染気体浄化装置

 

 

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