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新たに14都市で介護保険開始

 

中国政府機関の「国家医療保障局」と「財政部」は9月、「長期介護保険」の試験都市として新たに14都市を指定すると公表した。2016年に15都市を指定して以来、4年ぶりとなる。

 

また、介護保険の適用範囲や利用対象者の認定基準、財源確保策などについても見直した。介護保険の財源は、これまで医療保険から一部を切り分けて確保されていたが、今後は地域の状況に応じて、医療保険以外からの財源を確保するよう要請した。将来的には介護保険の独立運用を目指している。

4年前は上海、蘇州、成都、重慶、広州など経済発展している地域が指定され、今回は、貴州省、甘粛省、内モンゴル、山西省などの内陸地域に拡大された。

 

 

前回の規定と異なる点は大きく3つ。
(1)介護保険制度を段階的に独立させる
(2)認定システムをより正確・公平なものにする
(3)給付対象は介護サービスと一部の医療サービスに限定。これまでの一部の都市で実施されていた現金給付を禁止。

 

 

今回の方策修正では、財源確保の拡大と、在宅介護への給付が優先されることとなった。
中国では経済格差が大きいため、日本のように全国統一の制度を整備できないのが現状だ。中央政府は方針を示し、各自治体が地域の実態や財力に合わせてそれを具現化し、独自の制度を創設する。4年前に指定された15都市の介護保険も地域状況を踏まえて整備されている。

 

 

高齢者人口率が一番高い上海市は、2018年から「上海版介護保険」を実施している。政府によるとこれまで延べ50万人以上の高齢者が介護保険を利用したという。

 

上海市の在宅高齢者は市独自の「高齢者介護認定システム」に準じて、60歳以上介護度2~6級と認定されれば、週に数日、1時間の訪問介護サービスを受けられる。在宅サービスの場合、自己負担率は1割。

 

一方、四川省の成都市では上海とは異なり、現金給付を導入しているため、家族が介護する場合にも介護保険が適用されてきたが、今回の見直しで、今後は適用されない見通しだ。

◆ ◆ ◆

中国は現在、60歳以上の高齢者が2億5400万人、要介護高齢者人口が4000万人という深刻な高齢社会を迎えている。国はこの問題を看過できない。かといって、日本のようにサービスを手厚くすることもできない。高齢者の絶対数が多い、介護人材の専門性の低さ、財政逼迫など、課題が山積している。
「一歩ずつ状況を見ながら調整し、細く長く持続させる」という政府関係者らの見解は、制約が多い中での政策実現の難しさを物語っている。

 

 

王 青氏
日中福祉プランニング代表

中国上海市出身。大阪市立大学経済学部卒業後、アジア太平洋トレードセンター(ATC)入社。大阪市、朝日新聞、ATCの3社で設立した福祉関係の常設展示場「高齢者総合生活提案館ATCエイジレスセンター」に所属し、広く「福祉」に関わる。2002年からフリー。上海市民政局や上海市障がい者連合会をはじめ、政府機関や民間企業関係者などの幅広い人脈を活かしながら、市場調査・現地視察・人材研修・事業マッチング・取材対応など、両国を結ぶ介護福祉コーディネーターとして活動中。2017年「日中認知症ケア交流プロジェクト」がトヨタ財団国際助成事業に採択。NHKの中国高齢社会特集番組にも制作協力として携わった。

 

 

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