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事故データの集計・分析の方法

 多くの法人では、リスクマネジメント委員会(事故防止委員会)を設置し、事故件数などのデータを集計していますが、役立っているとは言えません。例えば、事故件数の増減だけで、事故防止活動の優劣を評価していますが、事故件数の増減には様々な不確定要因があり、件数だけで評価できません。では、どうすれば役立つ指標が導き出せるのでしょうか?

 

 

 

■結果だけの集計数字に意味はない

毎月の事故件数を集計し、年間累計で示すことは法人の管理業務としては当然のことかもしれません。しかし、事故件数の数字自体には何の意味もありません。なぜなら、事故件数のトータル数字は様々な要因で常に変化するので、これを意味のある数字として捉えることは不可能だからです。

 

例えば、異食行動がある人が入所して来れば、異食事故が突然増えて、結果、事故件数のトータル数字も増加します。また、事故報告ルールの事故の定義を徹底すると、それまで上がってこなかった事故報告が上がってきますから、やはり事故件数を押し上げます。

 

 

このように、事故件数は多くの不確定要因に左右されますから、この数字で事故防止活動の優劣を評価されても現場は困ります。では、事故件数を意味のある数字に加工して、現場の活動を適正な基準で評価するにはどうすべきでしょうか?また、事故データの集計・分析によって、足りない活動を浮き上がらせ対策改善の方向を示すことはできないのでしょうか?

 

 

■何を読み取りたいか?

まず、事故データの集計・分析によって、何を読み取りどのように役立てたいのか、目的を明確にする必要があります。データの集計・分析の目的は、「事故防止活動の不備・不足を明示し、改善につながる方法を提言する」ことです。そのためには、事故を様々な属性で分類することから始めなくてはなりません。

 

 

まず、事故防止活動では、防ぐべき事故と防げない事故を区分しなければなりません。たとえ事故の総件数が増えても、防ぐべき事故が減っているのであれば現場を正当に評価しなければなりません。そのためには、防ぐべき事故と防げない事故を区分して報告させることが必須となります。

 

例えば、転倒事故を「介助中の転倒」「見守り中の転倒」「自発動作中の転倒」と3つに区分することで、防ぐべき転倒事故が増えているのか減っているのかを把握することができます。介助中の事故が増えているのであれば、介助方法や介助環境に問題があるのかもしれませんから、これらを徹底的に検証しなければなりません。

 

 

介護施設では防げない事故が大変多いのですから、まず事故データの集計・分析においては「防ぐべき事故の増減」が大きな指標になるのです。自立歩行の認知症の利用者が増えれば、防げない転倒事故が急に増えますが、防ぐべき事故は増える訳ではありません。

 

 

■対策の方向が見える分析を

次に、ヒューマンエラーによる事故を分析する場合は、事故の発生形態を分類してその増減を示すと対策の方向性が見えることがあります。どのようなミスが多いのかを把握することで、ミスの発生防止対策とミス発見のチェック方法が明確になるのです。

 

 

私たちは、誤薬事故を「飲み間違い誤薬」と「取り違え誤薬」に区分した上で、取り違え誤薬は「薬の取り違え」と「利用者の取り違え」に区分しています。服薬が自立している利用者の飲み間違いが多ければ、服薬介助に切り替える必要があるかもしれません。

 

また、薬の取り違えが突出して多い施設があれば、薬袋のピックアップ時の氏名確認や服薬直前の薬の照合方法を改善しなければなりません。利用者の取り違えが多ければ顔写真で本人確認を行うなどの工夫が必要になります。

 

 

このように、事故データの集計・分析方法を変えることによって、現場では気付かない問題点がわかれば改善の方向性を示すことができます。リスクマネジメント委員会活動は、もっと現場に役立つための工夫をすべきではないでしょうか?

 

 

安全な介護 山田滋代表
早稲田大学法学部卒業と同時に現あいおいニッセイ同和損害保険株式会社入社。2000年4月より介護・福祉施設の経営企画・リスクマネジメント企画立案に携わる。2006年7月より現株式会社インターリスク総研、2013年4月よりあいおいニッセイ同和損保、同年5月退社。「現場主義・実践本意」山田滋の安全な介護セミナー「事例から学ぶ管理者の事故対応」「事例から学ぶ原因分析と再発防止策」などセミナー講師承ります。

 

 

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