IoT見守り活用で家族と連携
東京都を中心に特別養護老人ホームや小規模多機能型居宅介護事業所などを運営する社会福祉法人奉優会(東京都世田谷区)は8月、法人初の看護小規模多機能型居宅介護事業所を開設した。また同社が運営する小多機ではIoTを活用した見守りサービス「サブスクYUMICO」を開始し、小多機事業の強化を図り地域包括ケアを推進していく方針だ。
同法人初の看多機「優っくり看護小規模多機能介護三軒茶屋」(同)は、小多機からの転換により開設された。利用者の高齢化による、リハビリの要望や医療ニーズの高まりを受け、転換が決定したという。近隣地区の池尻の小多機のほか、新設予定の下馬、弦巻の小多機との連携により、地域の中で介護予防から看取りまで対応できる体制の構築を目指す。

「優っくり看護小規模多機能介護三軒茶屋」外観
小規模多機能事業部の川口由美子氏は「看多機の開設に際して、地域の病院からの問い合わせが多くありました。退院後の受け入れ先として、病院からのニーズも高まっていることがわかりました」と語る。

川口由美子部長
サブスクYUMICOは、利用者の自宅にドアセンサーやバイタルセンサーを設置し、クラウド経由で家族や事業所職員がどこからでも見守りできるサービス。異常があった際には即座に駆けつけられるほか、取得データと来所した際の様子を元に本人、家族と話し合うことで、情報量増加によるケアの質向上が期待できる。
また、ショートステイの居室に設置されたセンサーの情報も合わせて、自宅環境の整備へのアドバイスも行う予定だ。
川口氏は「7月に実施した試験では、利用者の夜間の状態を把握できたことで、熱中症対策に有効でした」と語り、導入の効果は高いとした。
今後は、小多機における地域参加型ワークショップや、認知症の啓発活動、子ども食堂などの開催により、地域のネットワークを形成し、小多機を中核とした地域包括ケアシステムを世田谷区で構築していく予定だ。