社会福祉法人湘南育成園(神奈川県鎌倉市)の特別養護老人ホーム「ささりんどう鎌倉」(従来型70床・同)は近隣施設と連携し、中堅職員を1ヵ月間他施設へ交換研修に出す「SWITCH研修(以下:研修)」を実施した。ケアの質向上のほか、離職防止、職員のリーダーシップの醸成にも効果があったという。
離職防止に寄与、指導力向上にも
公益社団法人介護労働安定センターの「令和元年度 介護労働実態調査」では、介護関係の仕事を辞めた理由について、男女ともに「人間関係」が2位にランクインしている。また、人間関係の悩みについては、「部下の指導が難しい」「ケアの方法などについて意見交換が不十分」といった原因が多く挙げられている。「これをふまえほかの施設を深く知り今の環境を客観的に見つめ直す機会が、離職防止につながると考え、この研修を企画しました」(マシュウ・カラシュ施設長)

ささりんどう鎌倉 マシュウ・カラシュ施設長
研修は10月から、同県内の社会福祉法人恵徳会が運営する特養「恵徳苑」と共同で行われ、各施設2名の職員を1ヵ月間交換し実際の業務に当たらせた。
対象職員は、
▽介福祉士の資格を取得している
▽3年以上現法人に所属している
▽今所属している法人以外で介護職の経験がない
などを条件に選出した。
研修に参加したささりんどう鎌倉の職員からは、「今の施設に十数年前に就職しました。現場を変えることで新たな体験ができました」「研修を通じ学びが得られたほか、自施設の長所も再認識できました」という声が挙がっている。

研修に参加した職員
また、研修終了後参加した2名は恵徳苑を参考に、排泄ケアの見直しを提案した。従来は汚物入れ用のバケツを使用していたが、ショッピングバッグに切り替え。1つは交換用のオムツなどの必要物品を入れ、もう1つは汚物を入れたビニール袋を持ち運ぶ用とし、バケツを使用しないことで見た目にも配慮するようにした。
マシュウ・カラシュ施設長は、「2人は戻ってから、ケアの方法について積極的に意見を述べてくれています」と話し、研修を通じて部下の指導に自信が生まれ、よりリーダーシップを発揮するようになったとした。