「保険外し」に病院から反発

11月19日の社会保障審議会医療保険部会で、大病院に紹介状なしで来院する初診患者、再診患者の初診料、再診料を保険から控除(除外)し、その分を患者特別負担に回すという案が提示された。

 

 

この考え方は、昨年12月の全世代型社会保障検討会議中間報告の以下の提言に基づいている。「紹介状がない患者が大病院を外来受診した場合に初診時5000円・再診時2500円以上(医科の場合)の定額負担を求める制度について、患者の負担額を増額し、増額分について公的医療保険の負担を軽減するよう改める。そして対象病院を病床数200床以上の一般病院に拡大する」。

 

 

これは「大病院の外来は紹介患者への外来を基本とする」という考えに基づく。あえて紹介状を持たずに来院した患者を診察する外来については保険給付の適応範囲から外すということだ。

この考え方はすでに入院医療においては、2006年の選定療養費制度の中に取り入れられており、一般病棟に180日以上長期入院する患者に対しては、入院基本料を15%減額しそれを患者自己負担の選定療養費に付け替えている。これは一般病棟以外にも療養病棟などの入院選択肢があるのに、あえて一般病棟で患者が入院を希望する場合に、入院基本料の一部を保険適応外として、その分を患者負担に回すという方法だ。なお選定療養費の対象にはこのほかに差額ベッド、歯科の金合金、時間外診療、制限回数を超える医療行為などがある。

 

 

現在、紹介状のない初診患者が大病院を訪れた場合、およそ2000円の初診料と、5000円の患者定額負担を病院は徴収している。今回の見直しでは、この初診料が保険給付から外れ、この分を患者負担に上乗せして、およそ7000円の定額負担を患者から徴取することになる。

 

 

こうした保険給付の適用見直しは、最近の高額なバイオ医薬品や高度医療の出現で、ひっ迫する公的保険の制度維持のため、議論が本格化している。具体的には公的保険の役割を個人が負担しきれない重度のリスクに重点化し、比較的リスクの少ない医療行為については、保険給付から外す方向へと進んでいる。たとえば湿布薬やうがい薬など一般用医薬品として入手できる医療用医薬品の保険給付制限の導入として既に始まっている。

 

 

さて今回の紹介状なしの患者の200床以上病院における保険給付外しについては、影響範囲が大きいこともあって、議論百出だ。保険者側はもちろん賛成だが、病院団体はこぞって反対している。理由は定額負担増による外来患者の減少懸念もあるが、これを契機に保険外しの範囲がなし崩し的に拡大する不安の方が大きい。

 

 

武藤正樹氏(むとう まさき) 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

1974年新潟大学医学部卒業、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中86年~88年までニューヨーク州立大学家庭医療学科に留学。94年、国立医療・病院管理研究所医療政策部長。95年国立長野病院副院長。2006年に国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉大学大学院教授、国際医療福祉総合研究所長。政府委員等 医療計画見直し等検討会座長(厚労省)、「どこでもMY病院」レセプト活用分科会座長(内閣府)、中医協調査専門組織・入院医療等の調査・評価分科会座長

 

 

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