〝6S〟掲げた環境作り
文房具、事務用品の製造・販売を手掛ける大日本理化学工業(川崎市)。同社では、主力商品のホワイトボードや窓ガラスなどに使用できる環境固形マーカー「キットパス」を障害のある社員のみで生産しているという。障害者雇用を始めて60年という大山隆久社長に、その経緯や取り組みについて聞いた。

主力商品のダストレスチョ-ク「キットパス」

 

 

―――事業について
大山 1937年に創業しチョークをメインに文具の製造・販売をしている。精密機器や食品のそばでも清潔に使用できるダストレスチョーク「キットパス」を開発し、主力商品として展開している。

 

 

 

―――社員の70%が障害者と聞いた
大山 社員86人中、63人が知的障害者で、うち25人には重度の障害がある。最低賃金をベースに正社員として迎えている。彼らが担う製造ラインは、グループごとに班長がまとめ、通常と違う状況が発生した際は、即座に管理者に報告させる。報告・連絡・相談の機能を明確にし、製造・サービスにおける職場環境スローガンの5Sに「セーフティ」を加えた6Sを掲げ、安心して業務に取り組める環境作りをしている。

 

 

 

―――障害者雇用を始めた経緯は
大山 先代の頃、近所の養護学校から障害者の就業依頼があった。「働く経験をさせて欲しい。働くことを知らずにいて欲しくない」という教師の熱意と、就業体験での真摯な姿に動かされ、雇用を決めたと聞いている。

 

 

 

―――工夫した点は
大山 社員の気づきをもとに、取引業者に資材のパッケージを色分けしてもらい、数値が認識できなくても資材の量を計測できるよう色のついたおもりをオーダーメイドした。時計は砂時計を利用するなど、感覚的に理解できるよう製造機具や検査器具に落とし込んでいる。

 

 

 

―――採用の方法は
大山 毎年、新卒を採用している。2週間ごとに3回の実習を経て、特性や集中力、理解力に合った教え方をする。見て覚える人、言葉で理解できる人、動きで理解する人など、人それぞれ。仕事に合わせるのではなく相手の理解に合わせることを我々も学んだ。業務に慣れた頃合いをみて職域を広げるチャレンジもしてもらい、成長の機会をつくっている。

 

 

 

―――新型コロナ感染症の影響は
大山 学校休校の影響を受け、商品が出荷停止となり、初めて製造ラインを止める事態になった。障害のある社員にとっては会社が”居場所”にもなっているため、自宅待機を命じるのには抵抗があった。期間中は週1、2回、必ず電話をかけ、ご本人や親御さんに様子確認をした。それによって今まで以上に良い関係性ができた。

 

 

 

―――今後の展開は
大山 8年程前から欧州、米国、アジアの展示会に参加し代理店を増やしている。世界ブランドを目指すことで、障害者雇用も進むと考えている。ステイホームのさなか、自由に書いて消せる「キットパス」の特徴を活かし、窓ガラスに虹などの絵やメッセージを書こうというSNS上の仕掛け効果もあり、欧米からの問い合わせが増えるなど、予想以上の動きがあった。増産体制を整え、この先も障害者が輝く受け皿を維持して行く。

 

 

 

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