地域・他社との連携強化

在宅介護サービスを中心に全国展開するセントケア・ホールディング(東京都中央区)。コロナ禍においても、大きく業績を伸ばしている。今後の事業戦略や新規開設計画、人材確保の取り組みなどについて、2020年4月に社長に就任した藤間和敏氏に話を聞いた。

セントケア・ホールディング 藤間和敏社長

 

 

──21年3月期第2四半期の業績が大きく伸びています。
藤間 売上高は前年同期比7.0%増の227億3200万円、経常利益は同104.0%増の14億2400万円となりました。第1四半期には主にデイサービスにおいて新型コロナウイルス感染症予防のための利用控えなどの影響があった半面、訪問看護や訪問入浴などの自宅でサービスを受けられる訪問系サービス需要が大きく伸びたことでカバーできました。また、前期に積極的に開設した30拠点の収益貢献や、今期第2四半期までの開設も順調に進んだこと、コロナ禍による活動費の低減などが増益を後押ししました。

 

 

 

──withコロナの戦略を教えてください。
藤間 主力として進めてきた在宅サービスを中心に事業戦略を組んでいます。重点的に進めている多機能型サービスを中心に、医療との連携機能を高めつつ、当社の軸である訪問介護と訪問看護や看護小規模多機能をセットにして拡大していく考えです。これを当社では「コミュニティNO.1戦略」と呼んでいます。また、介護福祉士の育成・採用を通じて、特定処遇改善加算などの加算取得推進や訪問介護のサービス強化に取り組んでいます。

 

 

 

──各拠点数について、サービスごとにどの分野を伸ばしていますか。
藤間 現在の総拠点数は549ヵ所あり、21年3月末の拠点数は553ヵ所を見込んでいます。最多は訪問介護で207ヵ所、次いで訪問入浴が106ヵ所。今期は17ヵ所新設予定で、第2四半期時点で12ヵ所開設済みです。新規開設のサービスとしては、多機能型サービス、訪問看護が中心で、「医療との連携」をポイントに地域におけるサービス基盤を作っているところです。

 

 

──注力するエリアは。
藤間 新規開設は首都圏が中心ではありますが、例えば九州・四国・和歌山など当社の訪問介護が充実している地方都市部エリアでも訪問看護・看多機を開設し、強化していきます。地域のニーズに応じて幅広いサービス展開をしていますが、自社サービスだけで地域包括ケアシステムの完結を目指すのではありません。自社の強みである「医療との連携」をもって、他社との連携により役割分担する「相互依存」の関係性の中で、地域に合わせて構築していきたい。ほかの介護事業者との連携にも取り組まなければ、今後一人ひとりのお客様を地域の中で支えていくことはできないでしょう。要となるのは「地域の顔」となれる人材の配置です。地域の課題解決を進めていく役割を担うソーシャルコミュニティリーダーを育成し、配置していく方針です。

 

 

──医療・介護連携への具体的な取り組みは。
藤間 退院支援の促進に力を入れています。例えば看多機における退院支援では、医療機関などから直接依頼を受けられるためのプロジェクトも進めています。メディカルソーシャルワーカーとケアマネとの連携をひとつの入口として、地域ごとに取り組んでいるところです。

 

 

──人材確保への取り組みは。
藤間 安心して働ける、働きやすい会社にしていくということを大切にしています。その上で、採用・定着に向けた色々な取り組みを行っており、中でもネット媒体などでの中途採用や新卒採用を強化しているほか、外国人採用も行っています。離職率は年々低下傾向にあり、定着にはICT活用の強化もひとつの手として取り組んでいます。現在は、処遇改善によるさらなる離職率低減を推進。加えて、生産性の高い医療的ケアや中重度者ケアに取り組み、結果として加算を取得することで、他産業との賃金格差を縮め、離職を減らしていきたいという思いがあります。

また、介護福祉士の育成にも注力しています。実務者研修の段階から会社で助成し、介護福祉士資格取得を促進。取得支援のための研修や模擬試験の実施などを通してサポートしています。ほかにも、特定処遇改善加算の観点から、当社では他社での経験年数を含めて通算できるようにしており、キャリアとしての実務経験を活かした介護福祉士の採用なども積極的に行っています。

 

 

──ICT・AIの活用状況を教えてください。
藤間 シルエットセンサーやシフト作成システム、技能実習生向け音声アシスト、人型介護支援ロボットなどを導入しています。デイやショートで導入している「コネクトケア」は、様々な情報をクラウド上でタイムリーに共有できるため、業務効率化、現場の負担軽減につながっています。例えばこのコロナ禍においても、熱発などのお客様の利用状況や健康状態を本社で把握できているため、迅速な対応や対策がとれています。部門間の情報共有が進んだことで、労働環境改善に寄与していると実感します。

AIケアプランについては、アセスメント情報をクラウドで管理・蓄積することがポイントです。同時にケアマネジャー向けの教育が必要であるため、ケアマネが作成したケアプランとAIが作成したケアプランとを比較する研修や事例検討の場を設けるなどしています。職員の負担軽減を図り、そしてサービスの質の向上に資するテクノロジー活用を目指していく方針です。

 

新規開設計画拠点数一覧 (2020年9月末時点)

 

 

 

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