新型コロナの影響で多くの介護事業者では、新入職員向けの集合研修を中止し、別の手段で実施している。介護事業向けのeラーニング研修事業を手がける日本教育クリエイト(東京都新宿区)研修開発部の村瀬麻衣課長は、「メンタル不調を未然に防止する能力や、フラストレーションをコントロールすることが重要」と指摘する。村瀬課長に職員に対するメンタルケアの方法について話を聞いた。

日本教育クリエイト 村瀬麻衣課長
普段の声かけで、士気向上を
―――コロナ禍で採用された職員が不安を抱えていることは。
村瀬 例年であれば集合研修などで、介護の基本的な知識やビジネスマナーを学びます。今年は、それらを十分に受けることができないまま、現場に出てしまった新入職員も多く、不安を感じているようです。
また、そのような機会がないことから同期が集まることもなく、同じような境遇で愚痴や悩みを共有できる仲間ができずに、ストレスを1人で抱え込んでしまうことが懸念されます。
―――そのような職員を出さないために、何をすべきでしょうか。
村瀬 管理職向けの研修では、コミュニケーションは長さより回数が重要であることを伝えています。ちょっとした声かけを日々続けることで、メンタル不調に陥る前に、変化に気づくことができます。
また、あたり前の仕事に対して「ありがとう」と声をかけるといった「承認」も、メンタルに良い効果をもたらします。例えば、感染症対策など、「地味だけど重要」なことにスポットライトを当てることで、職員のモチベーションも向上します。
―――コロナ禍で気が張り詰めており、些細なことでもきつく当たってしまうケースが良くあります。どのように対処すべきですか。
村瀬 フラストレーションが発生するのは、自分が「こうあるべき」と思う理想と、目の前の現実のギャップによって生じます。
そのギャップ、怒りの元を右の表のように分析することで怒りから距離を取ることができます。そのようにして、冷静になったところで、「重要かつ変えられること」に集中して、問題を解決していくことが、フラストレーションとうまく付き合っていく方法だと言えます。