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<連載第36回>あすの介護に 佐和子の ハートふるヒント

 

コミュニケーションが心のゆとり育む

 

イレウス(腸閉塞)で入院していたAさん。入院前に親しくしていたDさんが退所し、それを境に自室からフロアに出ることが少なくなり、元気が無くなり、不安と寂しさをいつも言葉にし、体力もみるみる落ちていった。そんな矢先、発熱があり数日後には嘔吐を繰り返し、腹部膨満感からイレウス疑いとなり緊急搬送、入院となった。そのAさんが無事に退院なさり戻ってきた。

 

 

2ヵ月弱の入院で体調は戻ったものの体重は8キロダウン。転倒リスクがあるため、車椅子で戻られた。10月中旬に衣替えもままならぬなか入院となったため、戻ってきたら一刻も早く衣替えをしたいと不安な表情で私に声をかけてきた。介護スタッフに伝えると、整理しやすいようにとフロアのテーブルを開放し洋服の仕分けを進めていた。

 

 

本人はフロアのテーブルでは落ち着かない様子で不安な表情は消えず、部屋で行いたいと仰るが見守る人手が足りないため私が代わって対応した。洋服を持ち部屋に行き、Aさんの指示のもと夏物をしまう。Aさんが畳んだ秋冬物を位置確認しながら棚に仕分けて置いていくと、安心した様子で表情がたちまち変化していった。

 

 

「衣替えも終わり安心しましたね。今日はインフルエンザの注射の日なのですが落ち着いたところで今打ちますか?」と聞くと「いいわよ」と快く引き受けて下さった。実は私、看護師として勤務してインフルエンザの注射は今回2本目…。正直緊張していた…。でも、その前の衣替えでしっかりコミュニケーションを取ったことで、私自身も力が抜けて安心した楽な気持ちで注射を打つことができた。実際はその度にコミュニケーションを取る時間的ゆとりはなく「はい、インフルエンザの注射を打ちますよ」とスタートする。だが私はまだ経験も浅く、実はその状況にとても緊張する。その緊張感は利用者さんにも伝わると思う。

 

 

今回は2回目でありながら、事前に2人で衣替えしてコミュニケーションをとっていたことで、私も力が入らず和らいだ気持ちでスムーズに行えたと思う。やはり、時間がかかってもしっかりコミュニケーションをとり安心・安楽な環境で行うことが利用者さん、そしてケアをする私達にとっても大切であると改めて学ぶことができた。

 

 

女優・介護士 北原佐和子氏

1964年3月19日埼玉生まれ。
1982年歌手としてデビュー。その後、映画・ドラマ・舞台を中心に活動。その傍ら、介護に興味を持ち、2005年にヘルパー2級資格を取得、福祉現場を12年余り経
験。14年に介護福祉士、16年にはケアマネジャー取得。「いのちと心の朗読会」を小中学校や病院などで開催している。著書に「女優が実践した魔法の声掛け」

 

 

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