余剰労働力を現場に融通

 

HUMAN LINK(東京都千代田区)とスリーフォレスト(同新宿区)は3月より、介護業界向けのワークシェアサロン「Partage」を開始する。一般企業と介護事業者をオンラインのプラットフォームでつなぎ、一般企業の従業員を介護現場に送る。求人数1000件からスタートし、年内には1万件を目指す。

 

BtoB会員制プラットフォームで

 

 

BtoB会員制プラットフォームで

 

一般企業が「送り出し法人会員」となり派遣可能な従業員を、介護事業者は「受け入れ法人会員」として勤務する介護事業所とその求人内容(勤務場所・条件、仕事内容など)を、それぞれサロンに登録する。登録費は無料だ。従業員は掲載されている求人から働きたい事業所を選び、面接を受ける。または、事業所が従業員にスカウトを送り、面接を打診する。面接で採用が決まれば双方の法人間で業務委託契約を交わし、就業開始となる。応募から面接、契約までオンラインで完結することも可能だ。

 

 

契約は1ヵ月単位で、従業員の時給は契約の段階で送り出し法人が決定する。月末の締め日に、介護事業者は従業員の時給分をまとめて業務委託料として送り出し法人に支払う。送り出し法人、介護事業者双方から業務委託料の5%ずつをシステム利用料として徴収する。なお、従業員の籍は送り出し法人に置いたままになるため、必要に応じて呼び戻せる。

 

 

この事業に賛同しているウェルフューチャー、Care Nationなど大手介護事業者とのネットワークを活かし、3月のサービス開始予定時には1000件の求人が掲載される予定だ。求人数は順次拡大し、年内に1万件に達する見通し。送り出し法人では、大手航空会社とも調整を進めているという。

 

 

 

採用コスト低減 技術水平展開も

 

HUMAN LINKの津﨑徹社長は、「介護事業者は採用コストを抑えつつ、必要に応じて人材確保ができる」と同サービスの特色を掲げる。「一般企業の従業員が、介護現場の仕事を経験することで、本職との相乗効果を生む可能性もある」と、技術の水平展開につながることも利点に挙げた。

HUMAN LINK 津﨑徹社長

 

例として、レストランを経営する法人が閑散期、シェフに介護施設で食事作りをしてもらうケースでは、業務を通じて高齢者に合わせた味付け、食物の最適な形状などのノウハウを学ぶことができる。
「介護事業所にとっても、外部からの人材流入がサービスの質向上をもたらす」。

 

 

 

コロナ禍受けて外食産業に訴求

 

現在、サロンの送り出し法人として、外食産業や宿泊業など、ホスピタリティ産業の法人がメインになると想定しているという。
東京商工リサーチ(同千代田区)が昨年12月に実施した「第11回『新型コロナウイルスに関するアンケート』調査」によると、「コロナ禍の収束が長引いた場合には廃業を検討する」と回答した割合が、飲食業では32.7%と全産業でトップとなっている。その理由について同社は「三密を避けた意識の広がりに加え、外出自粛や営業時間短縮などが追い打ちとなった」と分析している。

 

 

 

スリーフォレストの三森智仁社長は、「中小規模で飲食店を経営する法人は特に、人に辞めてもらいたくはないが、人を減らさねば営業が成り立たない状態にある」と現状を説明する。「このサロンの活用で、従業員の雇用を守りながら収入を得られる。合わせて、介護人材不足の問題解消にも貢献できる。社会的価値の高い試みだと認識している」。

 

スリーフォレスト 三森智仁社長

 

 

 

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