グループホームで精神障害者へのサービス

 

 合同会社Walk Hospitalityは今年1月、さいたま市で精神障害者を対象としたグループホーム「オアシス」を立ち上げた。水口恵理代表は12年間、精神病患者の看護に携わってきた看護師だ。事業化の背景には「患者の在宅復帰をサポートしたい」との強い思いがある。

 

世話人(介護福祉士)の奥山史章氏、管理者(看護師)の水口恵理代表、サービス管理者(精神保健福祉士)の喜島隆大氏。[左から]

 

 

グループホーム「オアシス」が提供するのは、障害者総合支援法が定める「共同生活援助」としての精神障害者へのサービスだ。入居対象者は65歳以下で精神科への通院や服薬管理により、通常の生活を送るのに支障がない人たち。入居にあたっては精神障害者福祉保健手帳を有することが要件となる。

 

 

水谷代表自身がグループホーム監理者を努めるほか、サービス管理者、世話人各1名を置き、入居者の金銭出納の支援、健康管理、そのほか日常生活における助言や指導を行う。保険給付の対象なのはこうした人的サービスで、各々の家賃と光熱費の実費、入居者が集まる交流室の光熱費や雑費は別途1万円を徴収する。

グループホームで精神障害者対象ながら単身アパート型

 

精神障害者対象の既存のグループホームはシェアハウス型が多くを占めるが、水谷代表が選択したのは単身アパート型。「精神障害者の場合、1人になれる空間と時間の確保が非常に重要」との考えからだ。単身アパート型では個室、風呂、トイレ、キッチンも揃う一般的な住戸で「1人暮らし」の環境で生活ができる。グループホーム開設にあたっては水口代表が自己資金で1棟12戸のうち6戸を賃借。1戸を入居者が利用する交流室に充て、現在は5戸の入居者を募っている。

 

オアシスの外観。アパートの6戸を使用

 

 

 

入居者募集のための告知は、障害者支援センターや計画相談(相談支援専門員)など、50カ所以上にパンフレットを持参して行なっている。コロナ禍の現在、病院には入れず直接は退院支援と結びつられないことが課題となっている。

 

 

入院患者数1万2119人(1日平均)、平均在院日数276・6日。オアシスがある埼玉県内の精神病床に関する直近の調査結果だ。精神疾患による入院の場合、症状が軽減しても家庭の事情や地域での受入体制が整わず、長期に及ぶことが多いとされる。

 

この状況を憂慮し、「入居者がそれぞれの苦手を克服し、地域に溶け込んで、自立した生活を送れるように一緒に考えるGHを作りたい」と語る水口代表。物件との出会いがあれば購入して、さらに事業を広げていきたい考えだ。

 

 

 

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう