---連載⑨ 急増するコロナ死亡、その対策---

 

急増するコロナ死亡への前回の緊急提案を踏まえて以下に2つの具体的提言を行いたい。

 

緊急提言1

高齢者施設支援体制の確立
今後感染の拡大により多くの死亡が予測されるのは高齢者施設であり、その拠点防御を図るため支援体制を構築する必要がある。一般に高齢者施設では医療施設に比較して感染制御のための資源が不足している。

 

 

 

①地域的な防御システムを構築

ハイリスクで濃厚接触を避けられない高齢者施設、例えば介護施設やデイサービスなどの施設に対する地域的な防御システムを構築する。保健所、地域の医療機関から感染制御の知識・経験を有する看護師等を派遣して、介護施設の点検・訓練・学習・支援を行う。

 

 

 

②緊急感染制御コンサルタントチームの設立

災害派遣医療チーム即DMAT、地域疫学者即FETP関係者、既存のICT、民間の病院コンサルタントを活用し、各地域で人材をプールし、高齢者施設や回復期・慢性期病院で集団発生した場合、早期に介入するシステムを確立する。

 

 

クラスターが出た場合の対応について。香川の例では瞬く間に全施設100人近い入所者と職員に拡がったようで、高齢者施設でのクラスターでは平均10%と高い死亡率が危惧される。
全国統計での飲食店は1クラスター当たり10人前後までの感染が多いのに比して、介護・医療施設は20人以上である。火薬庫に火を投げ入れるようなもので重症者や死者を防ぐには、これを防ぐことが重要である。

 

 

クラスター発生早期に介入すると、予防や治療などで死者を減らすことが出来るという、北海道でのDMATの事例があり、DMATリーダーは500万人の北海道で8人のコンサルタントがいれば済む。東京でも30人、全国でも100人とのことであるがそれはコンサルタントの能力に拠る。病院グループや、地域で急性期病院内の感染管理チーム、ICT、FETPによる実地疫学者が活躍する或いは再教育する体制が必要である。

 

 

 

 

 

早期介入チームの設立を 地域的な防御システム急務

 

 

③拠点防禦のための2か所の入り口レベルの防御。

一つは医療施設から入所するクライアントで、いわゆるPCR検査のすり抜け(偽陰性) がみられるため、陽性陰性に関わらず、入所後一定期間の個室収容、担当スタッフチームの固定が必要である。施設内のゾーニングと固定スタッフの確保、感染防御の機器やテクニックが必要である。このためには外部からの専門家のコンサルティングが必要で、地域の開業医も重要な資源となる。医師会や行政で研修などして、受けた医師にコロナ管理の認定をすることも一つの対策である。地域の医師が高齢者施設を支えることが、これからの地域包括ケアの時代に必須と考えられる。

 

 

もう一つは職員から持ち込まれる場合で、一般的な注意(体温測定、自覚症状の記録)は当然であるが、体調不良者が休むことができるように、これまでよりも手厚い人員配置や感染経路を特定できるような職員の勤務体制の工夫も必要である。

 

 

職員のPCR等の検査について、リスクに応じた最適な実施頻度を確立しなければならない。一般的な体温症状のモニターにはIT使った工夫がある。国産の迅速LAMP法を普及するのも一計であるが、偽陰性率など検査制度の向上、検査の単価、結果判明までの時間短縮が、今後期待され、標準的な運用法の確立が必要となる。
また介護のシーンでは食事介助が機会としてクローズアップされているので、そのようなハイリスクであり重点的に対処すべき機会を明確にすることも重要である。

 

 

 

③拠点防禦の長期戦略

介護施設の感染防御の体力を上げることである。一部の県や高齢者施設は、ノロウイルスなどの過去のパンデミックで能力が高いところもあるようだが、コロナが2類相当なので、クラスター追跡などに手を取られて高齢者施設まで手が回らない県、重要性を理解していない県、どうすればいいかわからない県もあるようだ。地域の担当を決めて保険医や訪問看護師を雇いあげて点検するなり、相談に乗るなり、福祉施設の協議会と共に研修をするなり、地域ぐるみの防御システムを構築することが求められる。

 

 

 

ワクチン接種が始まっても集団免疫を得るには時間を要し、1.5から2年は今回の様な波がダラダラ続くと想定されるので、しっかり構築しておく必要がある。
このような高齢者施設の課題に、病院協会や医師会が協力、支援するのは今後の高齢社会に向けて非常に重要で地域包括ケア体制構築へのいいきっかけになるのではと考えられる。

 

 

 

緊急提言2

 

2類感染症相当指定の変更

リスクを有さない健常者におけるコロナの死亡率は比較的低く、感染者に対して入院治療を原則とする2類感染症の指定は過剰な対応であり、かえって医療資源の効率的な利用を妨げている。また、入院先の割り振りなど保健所など行政の負担も増している。限られた行政資源、医療資源を有効に使うためにも、一般の医療施設でも治療対応が可能な様にする。

 

また、診療体制も、より現実に即した形に変更し得る。それにより、リスクが高い高齢者がいて濃厚接触を避けられない、地域の脆弱な場、高齢者関連施設に活動を移行することが可能となる。
また、一般の国民にもいたずらに危険を煽ることなく、慢性疾患患者の受診控え、医療機関職員の疲弊、職員の子弟への不当な差別を減らすことが出来る。

 

 

 

 

 

 

一般社団法人未来医療研究機構 長谷川敏彦代表理事

 

一般社団法人未来医療研究機構 長谷川敏彦代表理事

(プロフィール)
アメリカでの外科の専門医レジデント研修など15年の外科医生活、ハーバード大学公衆衛生大学院での学習研究を経て1986年に旧厚生省に入省し、「がん政策」「寝たきり老人ゼロ作戦」を立案。その後、国立医療・病院管理研究所で医療政策研究部長、国立保健医療科学院で政策科学部長。日本医科大学で医療管理学主任教授を経て、2014年に未来医療研究機構を設立。現在、地域包括ケアや21世紀のための新たな医学、公衆衛生学、社会福祉学そして進化生態医学創設に向け研究中。

 

 

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