超高齢社会の課題 ICT活用で解決へ

 

本コラムはアカリエヘルスケアカンパニー(横浜市・以下アカリエ)の髙橋健一社長による「ICT×医療×介護」をテーマとした特別対談コーナーとなる。第4回目は、投資活動や投資先企業の支援、教育活動などを手掛けるコーラル・キャピタル(東京都千代田区)の吉澤美弥子氏との対談。海外の医療・介護事業と国内の比較や、今後の超高齢社会の課題に対してICTをテーマに語ってもらった。

 

アカリエヘルスケアカンパニー 髙槗健一社長

 

 

 

 

 

 

超高齢社会の課題 ICT活用で解決へ

 

■事業の背景

 

——髙橋 手掛けている事業について教えてください。

吉澤 ベンチャーキャピタルとして、成長性を評価した会社などに投資をしています。投資領域は幅広く、ゲーム・不動産会社などもあります。私は大学時代に看護学部を専攻していたこともあり、ヘルスケア領域に興味を持って活動しています。

 

 

 

■VCから見た介護・医療・ICTの領域への投資

 

 

——髙橋 私は介護業界に14年以上関わっていますが、ベンチャーキャピタルが介護などの領域に興味を持っている印象は正直少ないです。吉澤さんの立場としてどう思いますか。

 

吉澤 アメリカでは、ヘルスケア領域で有力な企業も出てきましたが、日本では医療に対する考え方がアメリカとは異なり、国民皆保険で質も一定程度担保し、「ITを使って効率化していく」というニーズがあまりなかったと考えます。一方で、日本でもここ10年の動きの中でヘルスケア領域の人材紹介業を始め、上場している会社やシステムに投資している会社も増えていると感じます。

 

 

 

——髙橋 確かにそういう企業も増えてきた印象があります。介護・医療領域ではどのような分野への投資に興味を持っていますか。

 

吉澤 介護では、介護と医療の情報連携、業務の非効率性の改善といった部分に着目しています。事業所内だけの効率性ではなく、事業所間をつなげた業務の効率性改善をIT化によって期待しています。

また、医療は疾患ごとにかなり興味のある分野が異なります。既に糖尿病や高脂血症に着目した分野でのスタートアップ企業も増えてきています。日本人の食生活にも密接にかかわる病気、塩分の過剰摂取による腎臓病等に対する領域にも、新たな課題解決を行う企業が増えていくことを期待しています。

 

 

 

——髙橋 認知症については注目しているポイントはありますか。

 

吉澤 認知症だと、予防系や脳トレ等は多いですが、どちらかというとアンテナを張っている一部の人にしか届いていないのが現状かと思います。最近投資した事業では、家族信託を作ることをしており、認知症に備えて高齢者の生活周りを支援するサービスがあります。

 

また、認知症になって後見人制度を活用する状況では、家族が代わりに資産の引き出しや売買ができなくなってしまい、家族介護に必要な資金の準備に困ってしまうケースがあります。事前に家族信託という形で、適切な手段で売買できるように一般家庭で家族が認知症になった後の資産管理がしやすい仕組みを作る必要があります。

 

 

 

■国外で注目されている介護・医療・ICTの取り組み

 

 

——髙橋 海外では、どんな企業に興味をお持ちですか。

吉澤 米国では、高齢者の介護を支援する働き手をマッチングする会社があります。そこでは自社でも介護士を採用し、バーチャルな訪問介護事業者のようなことをしています。また、イギリスやドイツでも、米国と似たような形でマッチングが進んでいます。

 

今後、日本でも、訪問介護事業者がいる中で効率の良い介護職採用ができるサービスの誕生に期待しています。そのほかにもブルーリンクという、詐欺を察知してデビットカードを支払わないようにするサービスも人気が出ているそうです。認知機能が低下している方への詐欺を予防することが可能です。

 

 

 

——髙橋 「オレオレ詐欺」などの被害に遭われている人もまだ多い日本で、そのような高齢者の資産のプロテクトができるサービスは、注目されていくでしょうね。今後の展望はどうでしょうか。

 

吉澤 超高齢社会で顕在化する様々な問題に対して、国内外問わず様々なICTなどの活用で乗り越えていってほしいと思います。

 

 

 

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