訪問看護事業を手がけるシャーンティ(神戸市)は龍田章一社長が社会福祉士・精神保健福祉士の資格を持っていることを活かし、利用者とともにその家族の医療以外の相談などにも応じられる体制を整えている。具体的な活動内容などについて話を聞いた。

 

シャーンティ 龍田章一社長

 

 

 

1人の利用者に1日2回訪問

 

――訪問看護事業所の概要を教えて下さい。

龍田 名称は「秋桜」で、2016年に開業しました。看護師は常勤3名、非常勤6名で、24時間体制で対応します。訪問先は一般在宅が主ですが、高齢者住宅入居者にも訪問しています。医師の指示書があれば、全く新規の依頼でも、連絡があった当日に初回訪問が可能という、スピード感のある対応を心がけています。

 

 

 

――事業所の特徴は何ですか。

龍田 まず、褥瘡がひどく1日1回の訪問では十分に対応できない、などといった場合には1人の利用者を1日2回訪問するようにしています。報酬を考えたら、2回の訪問なら2人の利用者を1回ずつ訪問した方が高いのですが、それよりも利用者が不快な思いをせずに安心して過ごせる環境を整えることを優先に考えました。
また、私が社会福祉士、精神保健福祉士の資格を持っていますので、利用者やその家族の様々な困りごとや悩みごと、例えば身内に障害を持っている人がいる、経済的に困窮している、などにも対応できます。

 

 

 

採用関連コスト年間3万円程度

 

――そうしたニーズはどのように吸い上げているのですか。

龍田 看護師は、何も言わなければ、日常の訪問の中では看護のことにしか意識が行かないのが自然です。しかし、社会福祉士や精神保健福祉とはどのような資格なのか、どのような問題に対応できるのかを看護師にしっかり説明すれば、日々の訪問の中で「この家族が抱えている問題は当社で解決できるのでは」と気づき、私まで報告が上がってきます。そうした意識付けを看護師に行っています。

 

 

看護師の復職、独自ツール開発

 

 

――ほかに、看護師教育などの面で力を入れていることは。

龍田 当社は、平均で年2~3名の看護師の新規採用を行っています。そのうち9割が、いわゆる「潜在看護師」です。中には10年以上現場から離れていた人もいます。そうした人たちは現場復帰に際して「自分の知識が時代遅れになっていないだろうか」「技術が衰えていないだろうか」などの大きな不安を抱えています。自治体でも潜在看護師の復職支援のための研修を行っていますが、質・量ともに十分とは言えない部分もあります。

 

当社ではそれを払拭し、現場復帰できるための3ヵ月間のオリジナル復職支援プログラムを作成しています。なお、このプログラムは当社に就職する看護師でなくても無償で受けることができます。1人でも多くの潜在看護師に現場復帰してもらうことが「サービスを受けたくても受けられない」という人を無くすことに繋がるからです。

 

また、復職した看護師の多くは仕事と家庭の両立が課題になります。当社では勤務時間を柔軟に設定できるようにしており、中には「1日1訪問限定」の看護師もいます。自分の都合に合わせて働けますので離職も少ないです。1年間で採用にかかる費用は3万円程度です。

 

 

 

地域ケアマネに年6回集合研修

 

――地域の医療・介護業界のための活動も熱心に行っているそうですが。

龍田 今は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でストップしていますが、年に6回、地域のケアマネジャーなどを集めて介護保険制度改正などについて学ぶ勉強会をしています。1回あたりの参加者は約50人。地元の神戸市西区だけでなく、垂水区や明石市からの参加もあります。

市の介護保険担当者によると「介護事業者の知識不足などによる法令違反や不正行為が多く見受けられる」そうです。例え知識不足によるものであっても、不正があれば行政は処分せざるを得ません。正しい知識を持っていれば処分を未然に防ぐことができ、地域の介護資源を守ることにもなります。

 

 

 

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