社会福祉法人信和会 サッカー通じて多世代交流
社会福祉法人信和会(千葉県茂原市)は3月25日、国内では珍しいフットサルコート併設のサービス付き高齢者向け住宅「ファミリークラブあかね雲」を開設する。フットサルコートは元プロサッカー選手のカレンロバート氏が経営するローヴァーズ(同木更津市)が運営する。取り組みの狙いを聞いた。
社会福祉法人信和会はグループホームのほか訪問看護、デイなど在宅サービスを運営しており、GHを除く居住系施設は初めての開設となる。施設は木造2階建ての全33室。1階には訪問介護事業所を設ける。居室はバス、キッチン、トイレ、収納を揃える約27平米のAタイプと、バス・キッチンが付かない19平米のBタイプを用意。月額料金は食費を含めAタイプが18万4000円、Bタイプが15万5000円。
コート運営は元Jリーガー
「施設が単独でポツンと建っているようなサ高住にはしたくなかった。将来自分やスタッフが住みたくなるか、を念頭に計画した」と話す杉田大樹事務長は大のサッカーファン。共通の知人を通じて元プロサッカー選手で実業家のカレンロバート氏と出会い、サ高住に併設するフットサルコートの構想に至ったという。
カレン氏は千葉県の名門、市立船橋高校でエースとして活躍した後、Jリーグのジュビロ磐田などを経てオランダなど海外でもプレー。年代別日本代表に選出されるなどの実績がある。2019年にプロを引退し、現在は社会人サッカーチームのローヴァーズ木更津の選手兼オーナーとしてチームの運営、スポーツ施設運営などを行う企業の代表を務めている。
元プロが教えるサッカー教室も
一見ミスマッチな「高齢者施設とフットサルコート」併設についてカレン氏は「ヨーロッパでは普通にある光景」と話す。サッカースタジアムのすぐ横に高齢者向け住宅や保育施設、商業施設などがあり、サッカーを通じて日常的に交流が図られているのだという。
開設するフットサルコートでは、コートのレンタルだけではなく、一人でもサッカーが楽しめる個人参加型企画、また幼時から小・中学生を対象としたサッカースクールの運営も予定している。
「高齢者と子どもの交流は単発の企画ではなかなか長続きしない。スクールをきっかけに顔見知りになったり、または孫が通ったりすることもあるはず」(杉田事務長)
とカレン-ロバート氏-scaled.jpeg)
信和会・杉田大樹事務長(左)とカレン ロバート氏
施設の1階にはフットサルコート利用者も使える地域交流スペース、施設とコートの間には50台収容可能な共有駐車場も用意した。いずれはこの広い駐車場を使って地域の祭りなども行っていきたい考え。施設2階からはコートが一望できる。
「将来、このサッカースクールから育った選手が高校サッカーで活躍したりプロになったりするかもしれない。個々の選手を応援したり、ローヴァーズのサポーターになってもらったりして楽しんでほしい」(カレン氏)
施設のある茂原市は2002年をピークに人口流出が続いており、市によると企業の撤退などによりそのスピードが早いという。現在の人口約8万6000人は、2040年には7万2000人へ減少、高齢化率も40%に達することが見込まれている。
「地元企業などからは、茂原に人と活気を取り戻すきっかけになってもらいたいという期待の声をもらっている。カレン氏とともにこれを地域活性化の一つのモデルとしていきたい」(杉田事務長)

施設とコートのイメージパース