【連載 第11回】これだけやれば敏腕施設長

 

 

次年度目標の立て方①

 

今回は、目標設定のポイントをお伝えしたいと思います。新年度に入ってから、職員に目標を発信する施設長が多いのではないでしょうか。皆さんに発信する前にぜひ、以下の5つの項目をチェックしてみてください。

 

 

 

①ワクワクする目標か?

 

次年度は介護保険法改正に加えてワクチン接種など、対応が難しい課題が盛りだくさんです。目標の優先順位からすれば、こうした課題に対応することです。しかし、作業が増える前提の目標や「管理」「対応」「防止」といった言葉が並ぶ目標では、前向きに取り組むことはできません。仕事をしていてモチベーションが上がるような、ワクワクする目標を設定することを心がけましょう。

 

 

もしそうした目標が見つからなければ、〝目先〞を変えてみてはどうでしょうか。例えば、報酬改定で新たに設けられた加算要件をクリアすることを目標にするのならば、〝業務〞を目標にせず「利用者のために◯◯する」とするか、もしくは「職員のために◯◯する」というように置き換えるのです。

 

 

 

 

②目標は多すぎないか?

 

組織目標を立てるときの原則に「大きな旗を立てる」というものがあります。「あの旗を目指そう」と目標を掲げるときに、職員の前に小さな旗を何本も立てると、力が分散して達成できるものもできなくなってしまいます。それよりは大きな旗(目標)を山の上に1本だけ立てて目指した方が、力が集中して一丸となって取り組むことができます。

 

 

私の経験では、介護現場で本気で取り組める目標は、多くて3つだと思っています。それ以上になると、いくつかは形骸化してしまい、悪くすると目標があったことすら忘れられてしまいます。

 

 

 

 

③クリアできる目標か?

 

あるデイサービスでは、1年間の平均稼働率目標を85%としています。しかしこの施設は、食堂兼機能訓練室の面積が「利用者1人あたり3㎡」という設備基準ギリギリで定員を設定しています。車いすの動線を確保すると、つめて座っても8割くらいしか掛けることができないそうです。つまり、職員がどんなに頑張っても、この目標はクリアすることはできないということです。

 

 

これは極端な例ですが、達成が難しすぎる目標を設定すると、職員は最初から目指すことを諦めてしまいます。目標が発表された直後から、職員間に「こんなの無理に決まっているよね」といったグチが吐露されるようではいけません。また、目標が達成できないことが続くと〝負け癖〞がついてきます。そうならないように、達成可能な目標を設定しましょう。

 

 

 

④目標は具体的か?

 

この連載でもよくお伝えしていますが、目標は「具体的」で、できれば「数値化」されていることが理想です。具体的かどうかの判断基準は「達成したかどうかが、誰から見てもわかるか」です。以前、ある特養で「笑顔あふれるユニットを目指す」という目標を見たことがありますが、「笑顔あふれる」が、どれくらいあふれている状態かは、人によって判断が異なるところです。介護業界では、こういう抽象的な目標がとても多いように思います。

 

 

例えば「看取りを強化する」は、目標としては適切ではありません。これが「年間◯人の目標を達成する」となれば、年度が終わったときに達成したかどうかが明確ですから、目標としての条件は満たしています。このように、目標に「数字」を入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

⑤アクションプランは練られているか?

 

目標を設定するときは、目標を検討する以上の時間と手間をかけて、それを達成するためのアクションプラン(実行計画)を練りましょう。例えば「ダイエットをして3㎏体重を落とそう」という目標を掲げたら、それで終わりにしないで「週に2回はフィットネスジムで汗を流す」「糖質を制限するために、ご飯やパンは1日1回にする」「外食は月に5回までにする」のように、アクションプランがあった方が、目標達成までの道筋が明確になります。

 

 

アクションプランを実行に移したら、途中で定期的にそれをチェックしましょう。目標に近づいているという実感が持てなければ、見直すことも大切です。

 

 

 

 

糠谷和弘氏 代表コンサルタント ㈱スターコンサルティンググループ
介護事業経営専門のコンサルティング会社を立ち上げ、「地域一番」の介護事業者を創り上げることを目指した活動に注力。20年間で450法人以上の介護事業者へのサポート実績を持つ。書籍に「介護施設帳&リーダーの教科書(PHP)」などがある。

 

 

 

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