介護現場にしわ寄せも

 

国内での新型コロナウイルス感染症発生確認から、1年以上が経過。1都3県は、2度目の緊急事態宣言下にある現在(3月5日)、収束への道筋は未だ見えてこない。1月28日には、欧州連合(EU)が日本からの入国を、原則禁止にした。国際的には日本は「感染を抑えられていない」と評価されているのだ。果たして現状のコロナ対策は、状況打開につながるものなのか――焦点をあてる。

 

 

 

日本政府が一貫してとってきた新型コロナウイルス対策――それは徹底した感染抑制を主体とするものだ。「ソーシャルディスタンスの確保徹底」、「三密の回避」を打ち出し、これを基本とした行動変容が一般国民にも強く求められてきた。

 

 

初回の緊急事態宣言もあって、国内の感染症者はいったん減少に転じた。しかし、周知の通り、その後の第2波、昨年末からの第3波によって感染は拡大。1月7日には再度の緊急事態宣言が発令され、3月5日現在、1都3県においては、未だその宣言下にある。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は、感染状況について、感染ゼロ散発段階、感染漸増段階、感染急増段階、感染爆発段階の4つのステージを提唱。

 

 

さらに現状がどのステージにあるかの判断指標として、

①病床のひっ迫具合(病床使用率/重症使用率)

②療養者数

③PCR検査の陽性率

④新規感染者数

⑤感染者数の前週比

⑥感染経路が不明な人の割合

――の6つを提言している。

 

これに沿って、1都3県と2月末までに宣言が解除された6府県の状況をみると、最も深刻なステージ4からは全都府県が脱している。

 

 

その一方で看過できないのが、死亡者数の高止まりだ。
図1の通り、昨年12月後半から死亡者数は増加。ピーク時には1日あたり100人を超えるに至った。現状はピークを脱した状況だが、感染抑制に集中した結果としては心許ない。

 

 

 

 

 

増える施設クラスター

死亡者増の背景には、高齢者施設でのクラスター発生があると見られる。死亡率の高い欧米諸国では、介護施設で多くのクラスターが発生。それによって、コロナ関連死の約4〜8割が、高齢者施設で発生しているとされる。一方、日本では介護施設での死亡は、14%程度に止まっていた。

 

 

 

介護施設での大規模なクラスターの発生が抑えられていたために、コロナ関連死の発生総数が抑制されてきたのであろう。ところがそのクラスター発生状況にも変化が生じている。
図2の通り、2月15日現在でクラスターの約2割が高齢者施設で発生しているのだ。

厚労省は1月、地方自治体などに向けた文書で、感染者が高齢者施設に留まるケースに言及。「原則入院」としたうえで病床が逼迫する場合には、「入所を継続する場合がある」とした。
様々な疾患を抱え、感染すれば死亡リスクが高い入居者と、濃厚接触を避けがたい施設職員にとって、非常に厳しい状況となる。

 

 

 

人手とコスト、課題に

 

やはり感染拡大抑制の弊害は大きい。市中感染が広がっている現在、水際で抑え込む戦略は、保健所対応など多大な人手やコストがかかる。営業自粛に追い込まれる外食産業、キャンセルが相次ぐ旅行・宿泊産業にとっても大ダメージだ。感染者の増大に備え、病床の確保を進め、重症者対応を行える体制作りが必要だったはず。受け入れ病床確保の遅れが、介護現場へのしわ寄せとなり、死亡者増につながっているとすれば失策という他ない。政府は国民に対して、明確な方針を打ち出すべきだ。

 

 

 

 

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